(農林水産省小島 拓磨)
こんにちは。農林水産省 大臣官房 政策課 技術政策室の小島です。スマート農業の推進を担当しております。今回、AgriweBさんとご縁があり、こちらでコラムを書かせていただくことになりました。
いつものように、農林水産省の関連施策をたくさんお伝えする場にしたいと考えてしまうのですが、AgriweBさんから「このコラムを御覧になっている農業者から、農林水産省さんがどのように見られているかを意識してみると面白いかもしれませんよ」と示唆深いコメントをいただきました。
なるほど。
私たちは、日本の農林水産業の発展のために様々な施策を進めておりますので、当然、農業者の皆さんとは近しい存在であると思っています。でも、私たちがそのように思っているだけで、農業者の皆さんから見える私たちは『巨大な組織でどこか遠い存在・・・』なのかもしれません。
皆さんにとって農林水産省はどのような存在ですか?
そこで、今回は、少しでも身近に感じていただけるように、農林水産省で働く私たちも“一人のヒト”であることをお伝えできれば幸いです。
農林水産省とは
はじめに、農林水産省について簡単にご紹介いたします。農林水産省は、食料安全保障の確保など、「食」と「環境」を未来に繋ぐことをミッションに掲げ、幅広い政策を行っています。
様々なバックグラウンドを持った人が入省してくる
少しだけ私たちのことをお伝えすると、農林水産省には、農業や環境、土木、法律、経済、獣医など、様々なバックグラウンドを持った職員が集まっています。約2万名の職員がおりますので、入省を志した背景や想いは多種多様です。
一例として、私の場合、
幼少の頃、農業高校の教師だった祖父の家によく遊びに行きましたが、お手伝い程度で野菜を作ったりと、自然と農業に触れる機会がありました。植物や自然科学に興味が湧いてきて、大学では農学を専攻しました。父が国家公務員(防衛関係)として働いており、自分も学んだことを生かして日本が抱える問題解決に携わりたいと思い、農林水産省に入省しました。
このように、自分が経験してきたこと、学んできたことを日本の農業に還元したいという想いをもった人が農林水産省を志すことが多いように感じています。
このようなことをしています
簡単ですが、日々の業務の一部をご紹介いたします。
・全国各地の農業者をはじめ、様々な関係者との意見交換を通じて、現場の課題を収集しています。
・課題への対応策を生み出すために大学や企業と連携して、最新技術の開発に向けた国家プロジェクトを進めています。
・国会など、重要な意思決定の場の議論を踏まえながら、法律の立案や予算による支援策などを具現化します。
・国内のみならず海外動向にも着目し、国際的な交渉や技術協力などにも取り組みます。
私たちの重要な役割
私たちには、目先の問題の解決を目指すだけではない、もっと別の重要な役割があると思っています。
将来を見据えて方針を打ち出す
それは、10、20年先の中長期的な視点や国際情勢を踏まえた視点を持って、「まだ国内で着手できていない内容の旗振り役を担う」というものです。
例えば、スマート農業は、2013年に農林水産省が設置した「スマート農業の実現に向けた研究会」が政策のスタートです。その当時、世界ではAIやICTを活用した精密農業に取り組む動きが活発化していましたが、日本では研究者の中で話題となる程度でした。
近い将来、日本でも必ずスマート農業に取り組むことになるという将来を見据えた考えのもと、10年以上前に研究会を設置し、道筋を立てて、継続的に取り組んできて、ようやく「スマート農業」という言葉が定着し、現場で導入され、メディアでも多く取り上げられるようになってきました。
当時、農業現場では「スマート農業って何?」「本当にそんな農業ができるの?」「農水省は現場のことを何もわかっとらん!」という状態だったと思います。そのような中でも、担当職員が粘り強く取り組んできたからこそ、今の状況があると思っています。
このように将来を予測しながら取り組んでいるのです。
スマート農業の必要性
今後20年間で基幹的農業従事者が現在の4分の1にまで減少することが見込まれており、これまでと同じ農業生産のやり方では、国民へ安定的に食料を供給することができなくなります。
農地、人、技術、それぞれにおいて対策を行う必要がありますが、特に技術面において、ロボットやAI等の先端技術を活用したスマート農業に取り組むことは必須になると考えています。私たちは、どのような農業者でもスマート農業に取り組める世界の実現を目指し、日々の業務に向き合っています。
抱えている課題
等身大の農林水産省を知っていただくということで、私が日々の業務で抱えている課題や悩みについても触れさせていただきます。
先ほどお伝えしたように私たちの業務は、マクロデータに向き合い、長期の将来展望も見据えながら政策を進めていきます。それが故、農業者お一人お一人のお考えや想いに十分に寄り添えていない場面もあると思います。国民への食料の安定供給のためとはいえ、皆様には、それぞれの農業経営があり、また、長年の農業のやり方がある中で、新たな取組へのチャレンジは容易なことではないと思います。
「スマート農業は、若い次世代や、効果を発揮しやすい大規模平地の農業者向けのものであり、長きにわたって日本の食料生産に貢献してきた「中山間地」の農業者に向き合っていないのではないか」とのお声をいただいていることも認識しています。もちろんスマート農業が全ての問題を解決できる万能なアプローチとは考えておりません。それでも、スマート農業の推進は、日本の未来のために必ず取り組まなければなりません。
私たちは、皆様からいただくまっとうなご意見に少しでもお応えできるように、日々、葛藤を抱えながら一歩でも前進できることを追求しております
本連載でお届けしたいこと
初回では、私を通して、農林水産省のことをお伝えしましたが、少しでも身近に感じていただけたでしょうか。
スマート農業について、皆さんに知っていただきたい情報がたくさんあります。例えば、一昨年に成立したスマート農業の法律、技術を使いこなす先進農業者、中山間地でも活用可能な技術やスマート農業技術を活用したサービスなどです。本連載の中でお伝えできればと考えています。
次回は、これまでのスマート農業の取組を踏まえて、現在、私たちが推進している政策をお伝えしたいと思います。キーワードは「イプサ(IPCSA)」です!
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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