(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
今年もよろしくお願いします
明けましておめでとうございます。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。ありがたい事に連載5年目を迎える事ができ、大変嬉しく思います。これも日ごろからいつも支えて下さる皆様のおかげです。誠にありがとうございます。
新年という事で、このコラムを始めてご覧になる方もいらっしゃるかもしれません。簡単に自己紹介させて下さい。
農てんき予報は「わかりやすく」
私は東京農大を卒業後、7年青果商社に勤めたのち、気象予報士の資格を取りお天気キャスターに転身しました。これまで培ってきた経験を活かし、テレビ局の企画で畑を作るなどに挑戦していた中、幸運な事にこのコラムのお話を頂き、農業に役立つ天気の情報を発信する「農てんき予報」が始まりました。
当初から気を付けているのは、お天気業界で使われるような難しい言葉は極力使わない事です。読んでいても難しいと感じてしまっては、農家の皆さまの役に立ちません。わかりやすく、楽しく学べるコラムにしたいという想いは、いまでも常に意識している事です。
2026年の天気 最速予報
天気は私たちの日々の生活に密接に繋がっていますし、農業にとってはさらに重要な要素です。今月の農てんき予報コラムは、年明けで最も気になるであろう「2026年の天気」を特別企画としてお届けしようと思います。
勿論今月の大雪についてもしっかりお届けします。前置きが長くなりましたが、今年もぜひ最後までお付き合い下さい。それでは農てんきスタートです。
年始寒波
早速ですが、こちらは今月2日(金)の雪と雨の予想です。

北海道から西日本の日本海側にかけて白い表示となっていて広く雪が降る予想となっています。さらにピンク色の表示は大雪となる所を表しています。今年は年明け早々に寒波がやってきて大雪に注意が必要です。
また今月は、まだまだこの先も寒波がやってきそうです。
特に近畿・中国地方で大雪か
気象庁発表の1か月予報降雪量を見てみましょう。これは雪がいつもの年の1月と比べてどのくらい降るかを予想しています。

北日本、北陸、近畿で雪の量が平年並みか多い、近畿・中国地方で多い予想となっています。日本海側全体で「大雪・猛吹雪」となる日が今月は数回ありそうです。
特に今年は京都・兵庫・鳥取・島根など西の地域で大雪となる可能性が高いのが注目点です。雪が降る地域とは言え、「こんなに降るとは思わなかったよ。」というような事が起こるかもしれません。
西周りの寒気 西日本で寒く
続いて1か月予報の平均気温をみてみます。これはいつもの年に比べてどれだけ気温が高いか低いかを予想しています。注目点は「中国・九州地方」で低いという事です。

お天気界隈では、冬にやってくる寒気の流れを東周り(東日本が寒くなる)・西周り(西日本が寒くなる)なんて区別しますが、今年は西周りと言えそうです。寒気の流れ込みが西周りの年は、西日本を中心に寒くなり、そして大雪になる可能性が高いパターンです。
荒れた天気のサイン
毎年、この時期になるとお伝えしているのが、冬の天気のサインです。大雪・猛吹雪が予想される時は、決まったパターンがあり、それが「しましま模様の天気図」です。

日本列島にかかるしまの数が多ければ多い程、日本海側を中心に大雪・猛吹雪となり、さらに急激な冷え込みとなります。今月はこのしま模様の天気図が、数回出てくる可能性が高いのです。ぜひチェックしてみましょう。
一方、太平洋側の地域も油断できません。この時、日本海側で雪を降らせた後、太平洋側には乾燥した空気が流れ込みます。昨年の岩手県大船渡市で大規模な山林火災が長引きましたが、原因はしましまの天気図にありました。太平洋側の地域は火災に注意が必要です。
2025年はなぜ暑かった
さて、ここからは特別企画です。今回は2026年の天気がどうなるのかを予想していきます。でもその前に、昨年の夏を振り返らせて下さい。実はここに大事なポイントがあるからです。
とにかく昨年は暑い日が長かったですよね。記録的な猛暑で野菜の生育にも影響が出ました。なぜそれほど暑かったのか、大きく二つの理由をあげます。
1つ目は「地球温暖化でそもそも空気全体が暖かくなっている」、2つ目は「日本の南の海の温度がいつもより高かった」事があげられます。後者のイメージを詳しくみてみましょう。

①昨年は日本の南の海の温度が例年より暖まっていました。
②暖かい海では活発な雲ができました(空気が上昇)。
③活発な雲ができるということは、今度は日本に向かって空気が下降していく事になります。すると偏西風が北に押しあげられます。
④偏西風は例年よりも北を通り、日本は暖かい空気に覆われやすい状況が続き暑さが長引きました。
2026年はどうなる?
では、今年はどうかと言うと気象庁の発表では暑さの一つの理由であった、「日本の南の海が暖かい状況」が、平年の水温に戻る予想(80%)となっています。
そうなると、日本の南で活発な雲の動きがなくなり、北へ蛇行していた偏西風の動きが解消されます。すると昨年みたく夏の暑さは長引かないんじゃないかという事が考えられます。

ただし、これは複数ある暑くなる原因の中の1つの要素に過ぎません。私個人としては、昨年、一昨年程ではないにしても、今年もそれなりに暑い夏〜秋になるのかなという気持ちではいます。
エルニーニョ現象?梅雨の大雨注意
また一方で、実はこんな予想もあります。先ほど80%の確率で日本の南の水温が平年に戻るかもとお伝えしましたが、実は「20%の確率」で低くなるという予想も出ています。
これはエルニーニョ現象と言いますが、言葉は覚えなくて大丈夫です。簡単に言ってしまうと、昨年、一昨年のような夏にとにかく晴れて暑かった天気とは逆になります。今年は梅雨に豪雨になる可能性が少しあるよという事を示唆しています。

なんて怖い事を書いていますがどういう事かと言うと、日本の南の海が冷たい場合、夏の晴れをもたらす高気圧が弱くなり、日本付近に偏西風が流れるようになるため雨雲ができやすく豪雨が発生しやすくなるのです。
2026年もよろしくお願いします
「今からまだ先の事を大げさに。」という感情は私もあります。まだ先の事なので、今年の梅雨や夏がどうなるかやっぱり分からないのが正直な所です。
ただ、私個人としては今年も変わらず大雨への意識を忘れずにいようと思います。そして、農家の皆さまのために今年も精いっぱい頑張って参りますので、引き続き何卒よろしくお願い致します。

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