(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんき予報士の寺本卓也です。新年度のスタートですが、農家の皆様においても種まき、果樹の受粉や摘花作業など日々忙しくされている事と思います。
さて、この時期私は例年「遅霜」に注意と呼びかけています。遅霜は急な寒の戻りによる冷え込みで発生する霜の事で、野菜や果樹を枯れさせる怖い現象です。しかしながら、今年は遅霜発生の可能性はかなり低そうです。もちろん絶対ではないですが、どうにも暖かすぎる春になりそうなんです。
それだけではなく、今月は強い雨や風「春の嵐」がポイントになってきそうです。私達の生活環境だけでなく、どうやら天気も慌ただしくなりそうな気配です。今月も最新の気象情報を、農業目線で全力でお届けする「農てんき」、ぜひ最後までお付き合い下さい。
早くも30℃超えか 遅霜の可能性低い

気象庁発表の1か月予報(平均気温)を見てみましょう。4月は1か月を通して全国的に平年より気温が高い予想です。
4月のはじめは日中20℃前後で暖かく・過ごしやすいという体感であっても、日に日に気温が上がっていきそうです。西日本を中心に中旬頃には早くも突発的に25℃の夏日に、下旬頃には30℃の真夏日という所も出てくる可能性が高く、今年は暖春となりそうです。
また東北などの寒冷地も一時的な寒の戻りはあっても、氷点下の寒さまではいかず、遅霜の可能性は低いかなという気がします。むしろ、暖かさによる生育の前進が見込まれます。
今月は大雨に注意
気象庁発表の1か月予想(降水量)です。関東・東海、西日本は平年並みか多い予想です。これまで晴れて乾燥する日が多かったため、恵みの雨となる所も多いかと思います。

その点に関しては少し安心している部分ではありますが、心配なのは雨の降りすぎです。バランスよく晴れと雨がやってくればいいのですが、近年は本当に極端です。この時期は連日晴れが続いたかと思えば、台風並の低気圧がやってきて、大雨暴風をもたらします。
春は嵐のシーズン
突然ですが、皆さんは「嵐」と聞いて思い浮かぶ事はありますか。今年の春に活動終了する5人組のアイドルグループを想像される方も多いかもしれません。なぜ急にそんな話をするかと言うと、天気界隈でも嵐が巻き起こるのは「4〜5月」と春が多いからです。
先月も雨や風の強い日はありましたが、4〜5月の低気圧は他の月と比べ勢力が増しやすく、なかでもとてつもなく発達し、まるで台風並の勢力となる低気圧のことを「爆弾低気圧」と呼んだりします。この春は天気の話題も「嵐」が注目となりそうです。

爆弾低気圧に注意
「爆弾低気圧」は正式な気象用語ではありませんが、気象庁は「中心気圧が24時間で24hPa以上低下し、急速に発達する低気圧のこと」として言及しています。
低気圧発生の原因は、寒い空気と暖かい空気のぶつかり合いです。気温差が大きい程発達します。3月はまだ冬の勢力が優勢なので、それほど強くありません。一方で、4〜5月は空気が本格的に暖かくなり、気温差がはっきり出てきます。だからこそ、この時期に低気圧が急速に発達するのです。

爆弾低気圧の特徴は、台風並の大雨をもたらすだけでなく、暴風の範囲が台風よりも広範囲になります。もし天気図で、まるで大木の年輪のような、円の数の多い低気圧がやってきたら荒天のサインです。今月はこの天気図をチェックしていきましょう。
4日は大雨暴風に注意警戒
では、最新の予想では実際にどうなりそうか見ていきましょう。私が執筆している時点(3月31日現在)でのスーパーコンピュータの計算では、4日に春の嵐が日本付近に接近する予想となっています。
また気象庁もすでに西日本を中心に荒れた天気となり、警報級の大雨となるおそれがあると注意を呼びかけています。また太平洋側では広い範囲で風も強く吹く見込みで、暴風への意識も必要となりそうです。

新年度スタート 今年は嵐が次々にくる
さらにもう少し、先の予想を見ると、その後も短い周期で低気圧が日本に次々に接近する見込みです。雨上がりで作業をしたいと思っている矢先にまた次の嵐がやってくるという、天気の世界も新年度スタートは慌ただしくなりそうです。

まだ先の予想のためスーパーコンピュータの精度は高くなく、低気圧の発達具合、進む方向やスピードなどで雨の降る場所や強さは変わりやすいです。最新の予想で確認をお願い致します。
独自16日予報
ウェザーマップ独自の16日予報(東京)を見てみると、まず天気は結構雨の日が多くスッキリ晴れる日は少ないです。
さらに最高気温はほぼ20℃を超える日々が続き、6日は25℃に迫る初夏の陽気になりそうです。最低気温は3日に一時的な寒の戻りがありますが、それでも平年よりも高めです。
その後も著しい朝の冷え込みとなるような日は今の所なさそうです。その他の地点を確認されたい方は、こちらをご活用下さい。
今年はカメムシ大量発生か
先月11日に農林水産省は病害虫発生予報を発表し、今年は中国・北九州で果樹カメムシが多くなると予想しました。
果樹カメムシとは果実の汁を人間より先に吸って、実が変形し・落下させ収量を減少させてしまう農家の厄介者です。この果樹カメムシが今年は多くなるだけでなく、お米の汁を吸うイネカメムシなども大量に発生するかもしれないと示唆しています。
なぜ、そんな事になっているかというと実は今冬が暖冬だったからです。

今季は意外に暖冬
こちらは、この冬の平均気温平年差図です。

簡単に言うと今年は暖冬だったか寒冬だったかを表しています。一目でお気づきだと思いますが、全国的に平年より気温が高く暖冬という結果でした。あんなに大雪が話題になったのに意外な気がします。
実際に晴れて乾燥する日が多く、太平洋側ではまだまだ渇水・干ばつという状態の場所もあります。近年、雪が降る時は一気に降るドカ雪となり大きな影響が出るため、暖かいという印象が薄れるのかもしれません。
5月も暖かく
5月に入っても例年より暖かい日が多くなる予想が出ています。5月は30℃の真夏日となる所も頻発してくる事が見込まれます。

暖かさでカメムシだけでなく多くの害虫の動きも活発化、繁殖サイクルも早まり、夏にむかってどんどん個体が増える可能性があります。草刈りや、発生状況に応じた適切な防除が必要になってきそうです。
いよいよ農作業が本格化する季節に入りますが、天候の変化も大きい時期です。最新の気象情報をうまく活用しながら、無理のない作業と適切な対策でこの春を乗り切っていきましょう。
来月号も引き続き「農てんき」で詳しくお伝えしていきますので、ぜひお楽しみに。
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