(株式会社農協観光 関谷 紀志)
はじめに
第1回から第3回までのコラムで、農業界が働き手にとって魅力的な職場となり得る可能性について説明をしてきました。最終回では、当社が応援をさせていただいた農業経営者の皆さんへの想いと農協観光が農業界のために実現したい未来について述べさせていただきます。
農業を憧れの職業に
私事になりますが、我が家ではプランター菜園でトマトやナスなどを栽培しています。
近年は猛暑の影響もあり、実りも悪く、僅かな収穫に四苦八苦しています。このような環境の中、スーパーや八百屋には常に立派なトマトやナスなどの野菜、瑞々しい果物が並んでいることに、改めて「プロ農家」の凄さというものを感じています。自分たちが食べるものを作る大変さというのは、自分で体感をしないと分からないものです。その上で改めて生産者の皆さんはプロの仕事をされているということが理解できるのです。
そのような点からも、日々の生産に情熱を捧げ、安心安全な農産物を提供する皆さんを尊敬しており、改めて生産者の皆さんには誇りをもって活躍をしていただきたいと考えています。そして、この誇りある姿の先に日本の食を支える「憧れの職業」としての農業があると信じており、そのように消費者の目に映る未来が来てほしいと願っています。
農業への様々な携わり方を発信しましょう
農業が憧れの職業となる世の中になってほしい背景には、就農人口の減少と高齢化があります。
ここまでのコラムで多くの前向きな情報を伝えてきましたが、やはり絶対数として農業者の数が減っている事実は変わりません。だからこそ、農業への様々な携わり方を多くの生産者の方に発信してほしいと考えています。今の時代はSNS等により個人の発信でも十分に注目を集めることが可能です。日々の生産の様子、求人情報、生産をする仲間と過ごす日常的な風景など、ちょっとした情報が消費者の農業への理解を深め、携わり方の多様さを訴えるきっかけになります。そして情報の発信は集約する必要はないのです。
小さな発信が種となり実を結ぶことも増えています
例えば、ある地域で援農ボランティアの取り組みを紹介したとします。その結果、全く別の地域の生産者が「援農ボランティア」を知り、取り組んでみたいと感じるかもしれません。また、消費者の中から「私も農業のボランティアをしてみたい」と考える人が生まれるかもしれません。このような情報の小さな種が少しずつ広がることが重要であり、だからこそ農業における様々な携わり方を生産者である皆さんから発信して欲しいのです。
農協観光が目指したい「誰もが農業を身近に感じる世の中」
スーパーに並ぶ精肉や刺身が、牛や豚、魚であるということを知らない子どものことが定期的にニュース等で取り上げられ、そのたびに食育の重要性が語られています。この現象は農業でも同様であり、お米やジャガイモ、トマト、リンゴ、ミカンなどがどのように畑で実り、生産されているのかを知らない人は多く、農業を生業として身近に感じている皆さんからすると少し驚くような状況です。
この状況は常にスーパーなどで新鮮な野菜や果物が手に入ることによる、生産現場から消費者の手に届くまでの乖離に依るものであり、ある意味では生産者の皆さんのたゆまない努力の結実とも言えます。しかしながら、消費者と生産現場との分断は、「虫がついているキャベツ」にクレームを述べ、「曲がったキュウリやニンジン」を購入しないといった不自然さも生み出しています。加えて、有機やオーガニックという言葉が独り歩きすることにより、異常とまで言える生産管理が求められている実態もあります。この点からも消費者には偏った知識だけではない、農業の現場というものを肌で感じ、知ってもらうことが必要であり、生産と消費の溝を少しでも埋める取り組みになると感じています。
農協観光の使命
私たち農協観光はJAグループの一員として、食育については、まず生産現場に足を運んでもらい、見てもらうことを重要視しています。農業について関心を持ち、知ることからはじめてもらうのです。そうして普段、口にしている食べ物のことに関心を持ってもらうことにより、時には生産に携わってみたり、時には価格だけではない国産などの判断基準で購入をしてもらうことが重要であると考えています。このように、今よりも一歩、農業を身近に感じ携わるようにしてもらう機会の提供こそ、ふれあいコーディネイターの農協観光が持つ使命だと考えています。
さいごに
昨今、AIの普及により様々な産業が劇的に様変わりすることが話題となっています。その中で農業は人々が生きていくために必要不可欠な産業です。そして、農業生産はただ食べるものを生産するだけではない様々な側面を有しています。それは働きがいや生きがい、人や命、自然との繋がりなど多様です。このような魅力的な農業を生産現場の皆さんから広く発信し、多くの方々に知って携わっていただくことが、農業全体の更なる発展に不可欠と考えております。そのためにも、農協観光は生産者と消費者を繋ぐ架け橋として事業に取り組んでまいりたいと思います。
さて、本コラムは今回にて連載終了となります。このような形でコラムを寄稿し、多くの皆さまにお読みいただけたことを大変嬉しく感じております。このようなコラム掲載を実現いただきました関係者の皆さまへの感謝とお付き合いをいただきました読者の皆さまへの感謝の言葉をもって締めくくらせていただければと思います。
皆さま、本当にありがとうございました。
★農協観光「労働力応援事業」★
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