(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは、農てんきな気象予報士の寺本卓也です。昨年は全国的に雨量が少ない空梅雨でしたが、今年の梅雨は多雨です。活発な梅雨前線の影響により、すでに多くの地域で平年を大幅に超える雨量となっています。また梅雨末期を迎える今月は災害級の大雨となりやすい頃でまだまだ油断できません。
一方で、梅雨明けの見通しも見えて、本格的な夏も近づいてきています。今年は猛暑の日が多いのかどうかも気になる所ですね。大雨、暑さ、台風、雷雨など今夏はどんな天候になるのか、このコラムでは農家の皆さんに役立つ最新のお天気情報をわかりやすくたっぷりお届けします。ぜひ今月も最後までお付き合い下さい。
今年の梅雨は全国的に多雨
こちらは先月30日間の降水量のデータです。全国的に平年比100%を超えており、沿岸部などでは200%となっている所もあります。

昨年の梅雨は、全国的に平年よりも雨量が少なく水不足の状態となっていた事を考えると、今年はしっかり降ってはいます。むしろ、すでに降りすぎて雨はもう十分だという農家さんも多いのではないでしょうか。大雨・長雨は農作物の生育不良や、病気なども多発させるため、今後の天候が気になりますね。
この先は雨が少ない?
気象庁が発表している、1か月予報(降水量)です。7月の雨の傾向は、おおむね平年並み、西日本は平年並みか少ない予想です。

「よかった、7月は雨が降らなそうだ。」というような印象ですが、油断は禁物です。なぜなら7月の平年の雨は仙台178ミリ、東京156ミリ、大阪174ミリ、福岡300ミリと年間でみてもトップクラスの降水量のためで、そもそも雨がよく降る月なのです。
この平年並みという予想は、「大雨が1か月の間で数回は発生する可能性があるよ。」という事を表しているといえます。
雨の予想
今月上旬は曇りや雨の日が多く、梅雨前線の雨雲が本州にかかりやすい予想です。

前線の動きや発達具合を完璧に表現するのは現代のスーパーコンピュータでは残念ながら不可能です。しかしながら、大まかな見通しは立てられます。大雨となっている状況では、雨雲レーダーなどで実況を確認する事が一番災害の危険度がわかる確実な方法です。
台風接近も
さらに7月は台風も地味に日本列島に接近しやすい季節ではあります。
7月の台風接近数の平年値は2.1個です。ちなみに昨年7月は5個の台風が日本列島に接近しました。日本の南では新たな台風が発生しやすい状況となっています。今月も台風の動きも意識しておく必要がありそうです。

7月暑さ本格化
さて続いて暑さはどうなるか、1か月予報(平均気温)です。全国的に平年より高い予想です。

先月は曇りや雨で比較的涼しい日もありましたが、今月はさらに暑さのレベルが一段階上がり、蒸し暑さもアップします。全国的に日中は連日30℃を超え本格的な夏が始まる事が予想されます。農作物の生育不良・日焼けなどほぼ間違いなく影響が出てくるでしょう。
梅雨明け早いか 猛暑に雷雨のおそれ
ウェザーマップ独自の16日予報を見てみましょう(東京)。すると2週目以降は晴れる日が多くなっています。

関東の平年の梅雨明けは7月19日頃のため、今年は早い梅雨明けになる可能性が出ています。梅雨明けがこの通り早かったとしたら、3週目以降は一気に暑さのレベルが上がり、猛暑日もありそうです。また最低気温も25℃以上の熱帯夜になる見込みです。
さらに細かい部分ですが、晴れマークの隣に雲マークがくっついている事にお気づきでしょうか。実はこの曇りマークは雷雨の可能性が高い事を表しています。
7月後半は雷雨に注意
毎年この時期になるとお伝えしているのが夏の雷雨についてです。なぜなら、雷雨の原因は「猛暑」だからです。強い日差しが照りつけると、地上の空気が暖められ上昇流が起き、激しい雷雨となる事があります。ぜひお天気マークに注目して下さい。
午後は天気の急変がありそうな時は、ただの晴れマークだけではなく、隣に雲がついています。そんな日の午後は急な雷雨となる可能性があると思っておきましょう。

今夏やっぱり猛暑も、残暑長引かないか
ではでは、今回はもっと先の予想も見てみましょう。図は8月・9月の気温の傾向です。8月は高い・平年並みか高いとなっています。

東・西日本で例年通り猛暑や熱帯夜の日も多く、北日本は猛暑とまではいかないまでも30℃以上の真夏日となる日が多くなるかなというイメージでよいかと思います。
そして9月は全国的に平年並み。近年は9月に入っても、35℃以上の記録的な残暑という傾向でしたが、今年は全国的に暑さが落ち着く可能性が高くなっています。これはエルニーニョ現象の影響が考えられます。
今年の秋は涼しくなるか
先日、「寺本さん。今年はスーパーエルニーニョ現象が発生しているんですよね。夏は暑いの?」と取材先で質問を受けて焦りました。私よりも皆さんの方がよっぽど最新の天気情報をチェックされているなと、本当に驚かされます。
では、その気になるエルニーニョ現象と日本の天候の関係をみてみましょう。分かりづらいため、ポイントを絞ります。

①地球温暖化の影響で日本は暑い空気に覆われるので、結局夏は猛暑で暑くなりそうです。
②一方でエルニーニョの発生で、夏の暑さのレベルを引き上げるチベット高気圧や太平洋高気圧の勢力は昨年より弱そうです。
そのため、今年は秋まで残暑が長引かないだろうという見込みなわけです。昨年は残暑が農作物の生育に悪い影響を及ぼしていたので、本当に秋に暑さが落ち着く事を願います。
市場の状況は?
毎週広島の青果市場へ取材を続けています。昨年、記録的な暑さの影響で高騰が続いていたタマネギですが、5月に入り九州産の物が順調に出始め相場が落ち着いてきました。
そんな矢先に、先月梅雨前線が活発化し九州で線状降水帯が発生するなど、記録的な大雨となりました。広印広島青果小山取締役は、「今後の雨や暑さなどの影響が心配です。」とやはり、今後の天候の変化が野菜の生育に大きな影響を与えると話してくれました。

エルニーニョ現象と台風の関係
個人的にも今年はエルニーニョ現象の発生がどう日本の天気に影響していくかが気になる所ではあります。エルニーニョ現象は台風にも影響を与えると言われています。中心気圧が平常よりも低く、消滅するまでの寿命が長くなる可能性もあるとされています。今月も突然の台風の発生、接近など意識しておく必要はありそうです。
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