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展着剤は農薬散布時によく使用されています。今回は、その役割や選び方について改めて考えてみましょう。
展着剤の役割や選び方
展着剤は、農薬の付着性や浸透性を高め、効果を安定させるために使用される資材です。展着剤を使う理由は次のとおりです。
- 水と薬剤(農薬、液肥)を混ざりやすくする
- 薬液を植物体や害虫に付着しやすくし、防除効果を安定する
- 薬液調整時に泡立ちを抑える
- 薬剤散布による作物の汚れを軽減する
- 植物に付着させて耐雨性を向上させる
- 散布した薬液を乾きやすくする
展着剤の効果
展着剤の成分は主に界面活性剤です(図1)。界面活性剤は、水中で農薬を包み込むように働き、親水基を外側に向けることで農薬と水を混ざりやすくします(図2)。

展着剤を使用すると、水の表面張力(水が丸まろうとする力)を低下させる効果が期待できます(図3)。
植物の表面はクチクラ層で覆われていることが多く、例えるなら水をそのまま散布するとワックスを掛けた車のボディーの様に丸まった水滴がコロコロと転がってしまいます(図4)。
また、植物は葉や茎の表面に細かい毛が生やすことで、水が付きにくい構造になっています。展着剤を用いて表面張力を低下させることで、薬液の付着性向上が期待できます。


展着剤の使用法
農薬や葉面散布材の薬液を調整する際には、一般的には始めに展着剤を加用した水を作成します。これは農薬を均一に分散させるための下準備です。大きなタンクで薬液作成し、散布した後にタンクの底に沈殿物があったことがありませんか。展着剤を使用することで軽減が期待できます。
一方で、展着剤の中には泡立ちが強い製品もあります(写真2)。このような展着剤の場合は、最後に加用することで泡立ちの抑える必要があります。
展着剤にも農薬登録があり、適用作物や使用方法が定められています。作物名は○○類のように幅広いものから作物そのものもあります。実際に、適用作物に登録のない展着剤を使用したことで薬害が発生した事例もあります。
写真1.展着剤加用による泡立ちの影響比較
(エムダイファー400倍液使用、稀釈後に蓋をした状態で上下に30秒間浸透した直後)
写真2.エチレンブルーで着色した蒸留水に、各展着剤を加用した薬液を200ml展開し60秒経過した展性程度
展着剤の種類
展着剤は商品名以外にも効果によって種類分けがされます。大まかに以下の3つのグループに分けられます。
- 一般展着剤(スプレッダー)
- 機能性展着剤(アジュバント)
- 固着性展着剤(ステッカー)になります。
一般展着剤は薬液を拡げる効果が期待でき、使用倍率は薄く、価格も安価なものが多いです。
機能性展着剤は、一般展着剤よりも高い拡展効果を持つもの、薬液を植物体に浸み込ませる補助をする作用など商品によって様々な効果が期待できます。使用倍率は薄いものも濃いものもあり、価格も様々になります(写真2)。
固着性展着剤は、パラフィンや樹脂酸エステルを主な有効成分としたものでパラフィン等の間に挟まれる形で植物体表面に被膜を形成することで、耐雨性や耐水性の向上が期待できます。価格は比較的高価になりますが、果樹等で使用される場面が多いです。
自分が栽培している作物や果樹に使用するのにどの展着剤を使用したら良いかは一概には言えませんが、それぞれの展着剤の特徴を知ったうえで目的に応じて使い分けてみましょう。その上で自分の栽培にあった展着剤を探すことが防除効果の向上につながるでしょう。
次回は『近年増加シリーズ 害虫編 ➂【チョウ目害虫】』について、ご紹介したいと思います。ぜひ、ご覧ください!
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