イノチオグループでは1990年より農業生産者の支援として病害虫診断を行っております。現在は年間1200件前後の診断を実施しております。
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本シリーズでは、実際の病害虫診断事例をもとに、近年の気象状況や栽培環境・栽培方式の変化などの中で注意すべき病害虫やその対策についてご紹介します。
今回は、近年発生が増加しているアブラナ科野菜の「黒すす病」と台風や大雨の後に多発しやすい「黒腐病」を取り上げます。
被害を見つけた時に見分けるポイントを知っておくことで、早期発見や適切な防除に繋げることができます。病気の情報と実際の被害写真から参考にしてみてください。散布する薬剤は、イノチオ防除チラシもぜひご参考にしてください。
黒すす病
病原菌の生育適温は20〜25℃で、弊社の病害虫診断での持ち込みは4〜6月、10〜11月に多い傾向にあります。ただし、病原菌は5〜35℃でも生育するため、夏季などの高温期にも注意が必要です。
また、近年では従来の黒すす病とよく似た症状を示すAlternaria japonicaによる被害も報告されています。現在は黒すす病として扱われていませんが、同じAlternaria属菌であるため、防除・対策は黒すす病に準じて行うことが推奨されます。
病原菌
糸状菌
キャベツ:Alternaria brassicicola
ブロッコリー:Alternaria brassicae, Alternaria brassicicola
主な被害作物
キャベツ、ブロッコリー、はくさい、だいこん、カリフラワーなど
症状
- 葉に直径1〜3cmの円形〜類円形、内部は灰白色で周囲は黒色の病斑を生じる。
- のちに病斑は黒くなり、すす状のカビが全面に密生する。
- 下位葉での発生が多いが、育苗期は地際部で発生することもあり、苗立枯症状となる。
- 結球葉に発生することもあり、組織内部を侵して腐敗する。
- ブロッコリーはキャベツ同様に葉に発生するが、葉の病斑を伝染源として花蕾に感染が拡大する。
- 花蕾には小黒点を形成し、多湿条件下に置かれると黒いすす状のかびが発生する。
- キャベツ、ブロッコリーともに可食部に発生することから著しく商品価値が低下する。

発生の仕組み
- 種子伝染、空気伝染、被害残渣からの飛散などによって感染が広がる。
- 秋〜冬にかけて雨が多いと発生しやすい。
- 他のアブラナ科野菜や雑草に寄生し、伝染源となる。
- 圃場の排水不良や肥料切れによって発生が助長される。
対策
- 消毒済みの種子を、無病の床土に播種して育苗する。
- 育苗期に子葉への感染が認められた場合は除去し、早めに薬剤散布を行う。
- 本圃で発生を認めた場合も速やかに被害株の除去・処分を行う。
- 本圃でも予防的に定期的な殺菌剤の散布を行う。
- 圃場の排水性を改善する。
- 肥料切れを起こさないように適切な肥培管理を行う。
黒腐病
発生時期は5〜6月または9〜10月、気温がやや下がり始める頃に発生が増加します。細菌性病害のため、大雨や台風による強い雨風の後には多発しやすく注意が必要です。
病原菌
細菌
Xanthomonas campestris
主な被害作物
キャベツ、ブロッコリー、はくさい、だいこん、カリフラワー、カブなど
症状
- 生育中全期間発生する。
- は種〜発芽初期に感染した場合、子葉の水孔(葉の縁にある水分を排出する組織)から病原菌が侵入し、先端の凹み部分から黒変し、急速に枯死する。
- 本圃では主に下葉から発生し、葉縁に葉脈から外側に広がるV字形の黄色の病斑を生じる。
- 病斑内の葉脈は暗紫色に変わり、枯死する。
- 被害が激しい場合は茎まで侵され、導管部が黒変する。
- 次第に腐敗して根茎内に空洞が生じることもあるが、株の崩壊や悪臭は生じない。

発生の仕組み
- 主に害虫の食害痕や強い雨風、中耕作業などで生じた傷から、降雨や潅水により跳ね上がった土壌中の病原菌が侵入し、感染・発病する。
- 病原菌は乾燥に強く、被害残渣と共に土壌中で生存するため、残渣を放置・すき込みすることで次作の感染源となる。
対策
- コナガ・ハスモンヨトウ、ウワバ類などの(食害性)害虫の防除をする。
- 耐病性品種で栽培する。
- 被害残渣を放置したり、すき込みを行わない。
- 消毒された種子や育苗培土を使用する。
- 発生前からの予防的な薬剤散布を行う。
- 特に台風や大雨が予想される場合は、その前後に薬剤散布を徹底する。
- 土壌の排水性を改善する。
- 予防的な防除に土壌処理剤(オリゼメート粒剤)を使用する。
早期発見・早期防除に努めましょう
黒すす病は「黒いすす状のかび」、黒腐病は「葉縁から広がるV字型病斑」が診断の重要なポイントです。圃場巡回時にはこれらの症状に注意し、早期発見・早期防除に努めましょう。
また、黒すす病と黒腐病は病原菌の種類こそ異なりますが、いずれも発生前からの予防的な防除が重要です。農薬散布だけに頼るのではなく、耐病性品種の導入、圃場の排水性改善、健全な種子や培土の使用など、複数の対策を組み合わせて総合的な防除を行いましょう。
対策として有効な農薬は弊社の発行している防除チラシ2025年9月号キャベツ編をご確認ください(2025年の登録情報になりますので、農薬ボトルや袋、WEBサイトで最新の登録内容をご確認ください)。
次回は【水稲収穫後の病害虫防除、刈跡の除草および冬季のジャンボタニシ対策】についてご紹介します。
ぜひ、ご覧ください!
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