こんにちは! フィデスの久保京子です。
私は消費生活アドバイザーとして、消費者目線で考えるこれからの食ビジネスのヒントをお届けします。
ご存じの通り、インターネット販売は、インターネットの急速な普及により、その利用が急増しており、今後も成長が見込まれる業態です。
食品に関しては、宅配、ネットスーパー、お取り寄せ、ネットモールなど、その販売業態も多岐にわたります。
また、ここ数年ではパソコンだけでなく、スマートフォンでの購入が拡大しており、いつでもどこでもネットで買い物をするスタイルが浸透してきました。
食品のネット販売を検討するにあたり、一般家庭におけるインターネットでの購入状況や消費者の意識や行動が気になるところです。そこで、国が実施している調査データから、数回シリーズで消費者の食品のネット購入実態を確認していきたいと思います。
今回は、総務省「家計消費状況調査」、「平成26年全国消費実態調査」より、世帯におけるインターネットを通じた商品購入実態について確認します。
《調査のポイント》
- ネットショッピングを利用した世帯の割合は上昇中で、2015年時点で4世帯に1世帯が利用
- 世帯主が39歳以下の利用割合が45%で最も高く、年齢階級が高いほど利用割合は低い
- ネットショッピング利用世帯の年間支出総額は平均37万5千円。50歳代以上の支出額が最も多い
- ネットショッピングの支出額に占める「食品」の支出額の割合は14%
4世帯に1世帯がネットショッピングを利用
二人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した世帯の割合は、2015年には27.6%。
2002年の5.3%から5.2 倍となっている。
同割合を世帯主の年齢階級別で見ると、39歳以下が45.2%と最も高く、年齢階級が高くなるに従って低下しており、60歳代では22.1%、70歳以上では 11.1%と1割程度にとどまっている。
1世帯当たり年間ネットショッピング支出総額103,716円
二人以上の世帯における2015年1年間のネットショッピング利用支出総額は1世帯当たり平均で103,716 円。
世帯主の年齢階級別に見ると、50歳代が155,916円と最も多く、次いで40歳代(146,064 円)、39歳以下(141,833円)と、60歳未満では15万円前後となっている。
一方、60歳以上の高齢層は60歳代が88,392 円、70歳以上が43,404円と、60歳未満の世帯に比べて大幅に少ない。
全世帯ではなく、ネットショッピングを利用した世帯における支出額で見ると、1世帯当たり平均が375,720円。全世帯で支出額の少なかった60歳以上の高齢層は、60歳代(399,336円)、70歳以上(387,804円)で、最も多い50歳代(407,988 円)とほぼ同水準の支出となっている。
この、全世帯とネットショッピング利用世帯との年代別支出の違いは、主に、60歳以上の高齢層のネットショッピング利用世帯の割合が低いことによる。
ネットショッピングの支出額に占める「食品」の支出額の割合は14%
二人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した支出総額の内訳を見ると、「食料」が14.3%で、トップの「旅行関係費」(21.8%)に次いで第2位となっている。
以下、「衣類・履物」(10.7%)、書籍や音楽ソフトなどの「教養関係費」(10.3%)、「家電・家具」(10.1%)となっている。
家計調査の結果から、世帯におけるネットショッピング利用はますます高まることが予測されます。
全体の支出額に占める食品の割合はまだ小さいものの、店頭へ出向いたり、重量のある商品を持ち帰ったりするのが難しい「乳幼児のいる世帯」や「高齢層の世帯」などに更に利用が増えていくものと考えられます。
次回以降、食品をインタ-ネットで購入している消費者の購入実態について、宅配、ネットスーパー、お取り寄せ及びネットモールの業態別に分析したデータを紹介していきます。
「急増するネットショッピングの実態を探る」
-「家計消費状況調査」、「平成26年全国消費実態調査」の結果から-(総務省統計局)
http://www.stat.go.jp/data/joukyou/topics/pdf/topi920.pdf
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
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