こんにちは。インテージの玉木です。
「野菜が高すぎる!」。ここ数カ月、そんな悲鳴を聞く機会が増えた気がします。
事実値段が高くなっている事はインテージデータからも確認ができますが、高くなってしまった野菜とどのように消費者が向き合っているのか?についてデータから考察してみたいと思います。
2018年1-2月 野菜の店頭価格は?
野菜が高い!高い!と言われていますが、一体どの野菜がどの程度高いのでしょうか?
全国のスーパー600店舗の販売データである「インテージSRI(生鮮・惣菜)」から主要野菜の価格状況を確認した結果が下記になります。
最も価格が変動しているのは「レタス」で、前年同期の1.5倍以上の価格でスーパーに並んでおり、次いで「だいこん」「ほうれん草」も同程度の上昇度合いを示しています。一方で、「えのき」「えりんぎ」「まいたけ」「しいたけ」といったキノコ類は値段の上昇幅が少なく、安定した店頭売価となっている様子が見てとれます。また、「豆苗」「スプラウト」「もやし」といった発芽野菜も、昨年とほとんど値段が変わることなく店頭に並んでいるようです。ところが、「人参」「じゃがいも」は、ほとんどの野菜が値上がる中、10%以上の値下がりが確認できます。
このような価格変化が起きている状況で、消費者はどのような対応をしているのでしょうか?家庭の食卓状況を確認してみたいと思います。
2018年1-2月 家庭の食卓メニューは?
値上がる野菜(「レタス」や「だいこん」等)もあれば、価格の安定している野菜(キノコ類や発芽野菜等)や、実は値下がりを見せる野菜(「人参」や「じゃがいも」等)がある事が前章で確認できましたが、そのような状況の中で、一般家庭の食卓ではどのようなメニューが出されているのでしょうか?
キッチンダイアリー(1260世帯の食卓調査)から、野菜価格が高騰している2018年1-2月における主要メニューの状況を確認してみました。
昨年から最も出現率(TI値)を伸ばしているのは「きんぴら」となっており、消費者は価格が下がっている「ごぼう」「人参」を上手に活用している事が伺えます。また、価格が大きく下がっている「じゃがいも」の代表メニューともいえる「ポテトサラダ」や「コロッケ」の食卓出現も上昇している事が確認でき、多くの野菜が値上がっている中でメニューを工夫してコストを抑えている事が想像できます。
日本食卓の代表メニュー「味噌汁」の具材に変化は?
それでは、日本の食卓に欠かせない「味噌汁」の具材に焦点をあてるとどうでしょうか?
「キッチンダイアリー」から「味噌汁」に使われる具材の利用状況を確認しています。
1位の「ねぎ・長ねぎ」の利用率は変化がなく、安定して利用されている模様ですが、2位以下の具材については野菜の価格高騰が明確に反映されている様子が伺えます。
味噌汁の代表食材と言っても良い「大根」ですが、価格高騰の2018年1‐2月の味噌汁利用率は20%を下回り19.8%となってしまいました。その他にも「キャベツ」や「白菜」といった価格高騰野菜は、味噌汁に使われる頻度が下がってしまっている事が確認できます。
一方で、価格高騰野菜に代わって味噌汁に使われているのが、「たまねぎ」や「じゃがいも」、「にんじん」、「えのき」、「しめじ」といった価格高騰の影響が弱かった(もしくは、価格が高騰していない)野菜となっています。
前章で、食卓に「きんぴら」や「ポテトサラダ」といったメニューの出現頻度が上がっているという状況に触れましたが、“残り物野菜”を利用する事も多い味噌汁の具材は、このような食卓の変化を映す鏡のような存在と言えるでしょう。そこを逆手に取り ”鏡の中から変えてしまう” つまり ”味噌汁に使いたい野菜” となる事ができれば、自然と食卓でその野菜の利用頻度が上がるかもしれません。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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