株式会社ハレックスの酒井紀子です。今回は「農業と気象災害」について。
私たちは日々自然の恩恵を受けて生活をしています。でも、自然には二面性があります。圧倒的な破壊力を持つ脅威の側面と、代えがたい豊かな恵みをもたらす側面。農業は自然の恵みを受けて成り立っていますが、ときにもうひとつの脅威の側面により大きなダメージを受けてしまいます。先日九州北部で記録的な大雨が降り、甚大な被害がでました。毎年日本、いや世界のどこかで大きな自然災害が発生し、人命・財産ともに失われています。実は私たち気象予報士の大事な使命は日本国民の「命と財産」を守ること。単に天気予報を伝えることではありません。
農業にとっての「命と財産」とは、いうまでもなく農業従事者の命と田畑、施設、作物のこと。毎年なぜ防ぐことができないのかと残念に思うニュースがあります。大雨のときに田畑の様子を見に行き、命を落としてしまったというニュースです。テレビやラジオのニュースや天気予報からは、何度も「増水した川の近くには近寄らないで」と注意喚起をしているはずです。とはいえ、自分が丹精込めて育ててきた大事な作物や財産(田畑)がどうなっているのか心配になる気持ちは理解できます。
でも! 命を落としてしまったら何にもなりません!
命を落とすのは圧倒的に高齢の方が多いです。農業に携わっているのが高齢の方が多いという事もあるでしょうが、私は情報入手方法の差にあるように感じています。現代はあちらこちらライブカメラがたくさん設置されていますし、地域の詳細でリアルタイムな情報はSNS等インターネットで入手可能です。このような情報は高齢の方は入手しにくい情報なのではないでしょうか。
今まさに農業界では国や企業が力をあわせ、IoT(物のインターネット)が推し進められています。プラットフォームが整備され、農業に関する様々な情報が簡単に手に入るようになりつつあります。気象会社の営業の立場ではとてもわくわくすることなのですが、
気象予報士という国家資格をもった一個人としては、人命を守る仕組みを軽視してはならないと強く思っています。
今回私が伝えたい事は二つ。「経済活動も大事」「でも人命が最優先」。
様々な情報入手ツールの中に、農業従事者の命、健康を守る仕組みも広げていかねばと考えています。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
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