株式会社ハレックスの酒井紀子です。今回のテーマは、5月6月に注意してほしい「ひょう」についてです。
「ひょう」が降りやすいのは春や秋で、中でも最も「ひょう」が降りやすいのは5月-6月です。「ひょう」によって農作物や果樹の花や芽、葉が傷つく恐れがあり、今まさに注意をすべき現象です。
「ひょう」は直径5㎜以上の氷の塊で、これよりも小さいものは「あられ」です。
「ひょう」は発達した積乱雲から降ってきます。「ひょう」だけが単独で降るのではなく、雨や雷、突風を伴います。夏場にも積乱雲が発達しますが、「ひょう」が降ったとしても、地上に届くまでに溶けてしまい、雨として降るため、夏場は「ひょう」が少ないです。
この時期の「ひょう」で、過去に幾度となく農作物等に大きな被害がでています。
特に、2000年5月24日の「ひょう」は、茨城県から千葉県周辺に甚大な被害をもたらしました。建物の窓ガラス破損や自動車等の保険支払額は300億円にも達し、また、農作物の被害額も千葉県だけで60億円を超えました。テレビからは、「大粒のひょう」の映像が流れ、あたり一面雪のように真っ白になった様子に愕然とした覚えがあります。場所によってはミカン大だったということですから、本当に驚きです。
(ちなみに大正時代の記録によると、埼玉県でかぼちゃ大の「ひょう」が降ったとか!恐ろしい…)
「ひょう」の粒は、大きくなるほど落下速度が早くなります。例えば、直径1㎝の「ひょう」が降る時の時速は約50㎞。直径5㎝の「ひょう」が降るときの時速はなんと約120㎞にもなるそうです。そんな高速で降ってくるわけですから、農業ハウスの屋根や車のガラスなどは一溜りもありません。もちろん、人も怪我をする恐れがあります。
「ひょう」の被害は防げないものが多いです。果樹は防ひょうネットを準備している農家のかたもいらっしゃいます。しかし、葉物野菜等は栽培面積が広く、いちいちネットをかけるわけにはいかないのが現状です。せめて、ひょうが降る前に急いで収穫するのが精いっぱいかもしれません。では事前に「ひょう」が降る可能性をどのようにして知ればよいのでしょうか。
おすすめは、「大気の状態が不安定」というキーワードを手掛かりにすること。
テレビやラジオ、インターネット等の天気予報で、このキーワードを伝えていたら、積乱雲発達の可能性を示唆しています。この時期は、春と夏の空気がちょうどせめぎ合っているため、地表付近は夏のように気温が30度近くまで上がっても、上空は春の冷たい空気が流れ込んでいることがあります。上空と地表付近の気温差が大きくなると積乱雲が発達しやすくなります。上空約5,500m付近と地表付近の気温差が45度以上になると、「落雷・竜巻・ひょう」などの現象が起こる可能性が高くなります。残念ながら、よく目にする地上天気図には大気不安定の目安が現れないことがほとんどです。上空との気温差なんてわかりませんよね。
ですので、これらのキーワードを見逃さない、聞き逃さないようにしてください。
- 大気不安定
- 上空の強い寒気
- 落雷、突風
- 竜巻
また、これらのキーワードがでたときには小まめに天気予報を確認するようにしてください。
言うまでもありませんが、身の安全を守ることが最優先です。
- あたりが急に暗くなる
- 急にひんやりとした風が吹いてきた
- 雷の音が聞こえてきた
- 急に強い雨が降ってきた
こんなときはすぐに屋内のガラス窓から離れた場所に避難するようにしましょう。ガラスが割れて怪我をする危険があるからです。
また、屋外で作業をしているときは木の下に避難してはいけません。雷が落ちる恐れが高いからです。
天気予報を上手に活用していただけると嬉しいです。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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