5.野菜の畑土壌の圧密対策
大型機械による作業は、作業効率を高め生産性を上げますが、走行による踏圧のため圃場の下層土が硬くなって耕盤が形成され、根の発達阻害による生育不良につながる恐れがあります。とくにダイコンやニンジンなどの根菜類で圧密の影響は出やすく、根のくびれや分岐など収量や品質の低下をもたらします。
一般に、土壌硬度計(山中式硬度計)の測定値で20〜22mmになると根の伸長が抑制され、25〜27mmで伸びなくなるとされています。また耕盤ができると透水性、通気性が不良となり、湿害や干害が生じやすくなります。とくに野菜は湿害に弱いので注意が必要です。
圧密層ができたときの対策は、深耕などにより耕盤を破砕して下層土を膨軟にし、通気性や透水性を良くして根が伸長しやすいように土壌を改善することです。実際の作業は、サブソイラーやプラウによる深耕、心土耕などですが、深耕と同時に堆厩肥や土壌改良資材を投入してすき込むと改善効果が高くなるので、土壌条件に応じてこれら資材を同時に施用します。
下層土の耕盤形成を防ぐためには、大型機械での走行の回数とタイミングに注意することです。効率よく走ることで走行頻度を減らし、また水分を多く含んだ状態(降雨や灌漑のあと1〜2日経って落ち着いた水分状態=力が加わると硬くなりやすい状態)での走行をなるべく回避し、土壌の物理性が悪化しないことが大切です。
農作業の能率アップのためには大型トラクターなどの利用は避けられないので、土壌条件に応じて1〜2年に1回程度の割合で、深耕や心土耕による下層土の改善対策を講じましょう。
図1 耕盤の形成と深耕による破壊のイメージ
6.連作障害の発生と原因
連作障害の原因は病虫害に関するものが約80%といわれていますが、中でも土壌伝染性のものが多く、微量要素欠乏などの生理障害、塩類濃度障害、土壌物理性の悪化よる原因は少ないとされています。しかし、連作障害を抑制する善玉の微生物が正常に働くには、土壌養分の含量やバランスおよび物理的な条件などを良好にする必要があります。
例えば、無機窒素や加里(交換性)含量が過度に多いと作物は発病しやすくなることが知られており、また無機質肥料のみを連用した土壌では微生物的な緩衝力(例えば病原菌がいても拮抗する菌が繁殖を抑制するなど)が弱くなり発病しやすい環境になります。このように作物の発病と土壌の養分含量との間には密接な関係があるとされています。
土壌環境が一律で変化のない状態、また栄養過多の状態が継続されると微生物の種類が限定的になり、悪玉菌がはびこりやすくなります。堆肥などの有機物の投入などによるバランスの取れた環境は微生物の多様性を維持します。
7.転換畑の土づくりと施肥法
最近現場では、水田から畑への転換あるいは田畑輪換がより多く実施されるようになっています。水田作より高収入が得られる畑作に換える農家が増えているためです。そこで、ここではその注意点や効果について示します。
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