はじめまして。インテージの玉木と申します。
今月からインテージとしてのコラム掲載がスタートとなりましたが、「いやいや。インテージって何??」という方も多いと思いますので、まずは簡単にどんな会社なのかを説明させて下さい。
弊社インテージは、アンケート調査やスーパーマーケットの販売データ等、様々なデータの収集〜集計〜分析〜報告を通じて、様々な企業様へ生活者の実態を伝える会社です。創業は1960年と50年以上の歴史を持っており、誰よりも生活者を知る企業として日々データと格闘している社員がたくさんいる。そんな会社です。
さて記念すべき第1回目の話は、「食卓メニューから考える 今後の野菜需要」です。
インテージデータで見えてくる食卓の真実から、今後の野菜需要について考えてみたいと思います。
食卓データから見えてくる野菜事情
一般家庭の食卓ではどの様なメニューが出されているのでしょうか?インテージが調べている1260世帯の食卓調査「キッチンダイアリー」から、出現率Top10メニューの2013年からの伸びを確認してみました。
▼キッチンダイアリー(京浜+京阪神)夕飯のおかず 出現率(%)
※2017年1-10月上位10メニュー(おかず)
「生野菜・野菜サラダ」は他のおかずを圧倒し、現在は30%以上の出現率となっていますが、2013年よりも更に出現率が伸びていることが確認できます(2013年:28.0% → 2017年:32.4%)。一方で、「野菜の浅漬け・塩漬け」「冷奴」「刺身・魚のたたき」「和風煮物」といった和食メニューは、「納豆」を除き出現率が一様に下がっており、日本人の和食離れが、家庭の食卓においても進んでいる事がデータから確認されました。
女性の社会進出を背景に共働き世帯が増加する今日においては、時間のかかる和食メニューの出現が低下していく事は想像し易く、そんな中調理も簡単で野菜をまるごと取れる「生野菜・野菜サラダ」は忙しい現代社会において最適なメニューなのかもしれません。
少し視点を変えて主家事担当者(女性)の30代と60代のサラダに使う材料の違いを見てみます。
▼キッチンダイアリー(京浜+京阪神)「生野菜・野菜サラダ」の利用野菜ランキング(%)2017年1-10月
30代で最も材料として登場するのはレタスとなっているのに対し、60代ではトマトの利用率が50%を超えます。このトマトに注目しますと、30代はトマトとミニトマトの利用率が60代と比較すると拮抗しており、切る必要のないミニトマトの利用率が高い事も確認できます。
この数表で更に注目したいのは、たまねぎの利用率です。60代では約2割の確率でサラダに利用されるたまねぎですが、30代では6.3%と非常に低い。やはり、他の野菜よりもスライスして水にさらすといったひと手間掛かる工程が、忙しい30代にとっては扱いにくい野菜となっているのかもしれません。
和食等と比べ短時間で調理可能な「生野菜・野菜サラダ」ではありますが、その利用材料からも更に簡便化が進んでいる可能性が伺え、調理のし易さ(サラダ完成までの簡便さ)等を販売方法でアピールする事も有効かもしれません。
「生野菜・野菜サラダ」好調の背景に
野菜サラダに必ずと言っていい程必要な商品と言えばドレッシングです。インテージSRI(全国小売店販売パネル)の推計では、ドレッシングの市場規模は2013年(2013年1月〜12月累計)の626億円から647億円(2016年1月〜12月累計)まで拡大しています。また、SRIで販売実績が確認できている商品数は2013年の1,171商品(2013年1月〜12月累計)から1,473商品(2016年1月〜12月累計)まで増えており、昔と比べ様々な好みに対応できる商品ラインナップになっていると言えます。
一方で、ドレッシングの選択肢が増え、様々な味を楽しめる環境の中、生活者が味以外にサラダに求めているものが「見た目」です。レシピサイト(クックパッド等)では、見た目の鮮やかさ(カラフルさ)を押し出したレシピが多く掲載され、最近の流行語である”インスタ映え”するサラダとして「ブーケサラダ」等もインターネット上で拡散されています。
“生野菜として”おいしく食べる「味」や、調理の「簡便さ」をアピールする事はもちろん大事ではありますが、今まで以上に見た目、特に「カラフルさ」を演出できる野菜同士のコーディネートなども売り方としては大事な要素になってくると考えられます。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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