今回は、岩手県久慈市「JA新いわて女性部久慈支部」の6次産業化新商品開発支援事業に関する取り組みを紹介します。
この取り組みは、JAいわてグループ農業担い手サポートセンターが、担い手支援体制整備事業の6次産業化促進・販路拡大等体制拡充支援事業として、平成27年度から平成2929年度の3カ年で実施しました。JA新いわて、JAいわて花巻、JAおおふなとの各JAの課題解決や商品開発、販路開拓をサポートしてきました。
生産者にとって「最も相性が良い加工商品」とは
JA新いわて女性部久慈支部では、生産物を生産者自らが加工、地元や地域外へ販売する6次産業化の新商品開発として、常温かつ無添加で日持ちするドレッシングを開発しました。 種類は、「わかめと原木しいたけ」、「鬼ぐるみとえごま」、「山ぶどうとハックルベリー」です。
「なぜ、ドレッシングなのか」という質問が現場から、寄せられることがあります。
その理由は、生産者にとって「最も相性が良い加工商品」のためです。生産者が、生産している様々な農産物を丸ごと活用でき、また、生鮮出荷できない規格外農産物があれば、それを活用することで、これまで売れなかった農産物を自分で活用し、「加工」という付加価値を乗せて販売することができるようになるためです。
しかも、生産物にドレッシングを合わせて販売することも可能になります。小売用だけではなく、容器を大きくすれば業務用としても販売することができ、地域の飲食店や宿泊施設、惣菜店の需要も取り込めます。極め付けは、ドレッシングの加工は、家庭の台所レベルの設備や器具で製造できるため、イニシャルコストもランニングコストも抑えられます。
加工設備を持たない生産者にとって、加工ビジネスを始めやすいというメリットがあります。また、弊社が技術指導するドレッシングは、非加熱殺菌にも関わらず、常温且つ無添加で日持ちが長いのが特長です。材料を炒ったり炒めたりする調理工程は場合によって、発生しますが、湯煎殺菌等の加熱殺菌は不要です。よって光熱費も少なく済みますし、素材の色も加熱による退色はなく(時間が経って退色することが、素材によってあります)、素材そのものの色を活かすことが可能です。
例えば、ビーツ(赤)、ニンジン(オレンジ)、トウモロコシ(黄)、ブルーベリー(紫)、お茶(緑)、ヨーグルト(白)、といった7色のカラフルドレッシングを展開することも可能です。ドレッシング製造に関しては、デメリットはあまり思い当たりません。
6次産業化の成功ポイント
女性部の皆さんと歩んだ開発プロセスは、まず共に地域資源の発掘(各自が知っている地域の生産物を、陸・海・山にマッピング)を行い、地域料理や文化、風習、自然景観なども含めて、これ以上出ないところまで徹底的に地域を見つめ直すころから始めました。その後、「商品企画、研究開発、試作製造、試食評価、改良改善、包材選定、パッケージデザイン開発、価格設定」に至るまでのプロセスを女性部の皆さんが当事者として商品開発に臨める仕組みづくりを行いました。特に加工食品で肝になるのは加工技術ノウハウであり、衛生管理、品質管理もセットでマスターします。誰が製造しても、安定して同じ品質の食品づくりができるようにすることが、「地域資源を活用した加工特産品ビジネス=6次産業化」の成功のポイントになります。
ドレッシング完成!
JAが所有する調理実習室で、実習指導を何度も実施しました。女性部の皆さんは、初めは慣れない作業のため、時間がかかっていました。繰り返すうちに、次第に手際が良くなり、安定した品質のドレッシングづくりをマスターすることができました。
完成したドレッシングは、平成29年10月28日(土)、29日(日)に開催した「JA新いわて合併20周年記念 第18回久慈エリアお客様大感謝祭」で販売致しました。
一つ一つ丹精込めた手作り商品のため、当日は限定30セットのみの販売でしたが、そのデビューを皮切りに、直売所での販売や、お中元・お歳暮用ギフトセット化や、岩手県のアンテナショップ、さらには首都圏の小売店や飲食店での販路など開拓を進めています。
JA新いわて女性部久慈支部の今後の飛躍にどうぞご期待ください。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
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