1.自然生態系のメカニズムを理解し土壌環境を最適化する。
農業は自然を相手にしますが、自然に委ねてしまうこととは少し違います。
農業の基本は、作物と人間の共同作業です。動き回ることのできない作物(植物)の代わりに、農業者は動くことで、その役割を発揮することができるのです。農業者にできることは、「作物を育てること」そのものではなく、土をつくること。土壌環境を作物に最適なものする。作物は人間が用意した土壌環境に応じて、自らの持てる生命力を謳歌するだけなのです。
高栄養価で高品質な農産物を多収穫することを目的にしている日本有機農業普及協会が、お勧めしているBLOF(ブロフ)栽培も、土づくりの技術が基本となります。
農業は土づくりで、ほぼ100%その良し悪しが決まってしまうと言っても過言ではないと考えています。BLOF(ブロフ)栽培では、土作りに使用する肥料、つまり土壌環境を改変するために施用するものを、役割別に3つのカテゴリーに分類し、それぞれの肥料の特徴を踏まえ、その機能が最大限に発揮されるための技術をまとめています。
3つの肥料カテゴリーと役割は、以下になります。
- ミネラル肥料をしっかり施肥して、光合成能力を向上させる。
- アミノ酸肥料を使用し、細胞をつくる力を向上させる。
- 中熟堆肥を使用し、太陽熱養生処理を行うことで、土壌を団粒化し根の量を増加させる。
また、3つの肥料を使いこなすための技術として、以下が必要となります。
- ミネラル肥料を精密に施肥するために、土壌分析技術と施肥設計技術
- アミノ酸肥料を使いこなすために、発酵・液状化技術
- 中熟堆肥を活用し土壌を根が張りやすいフカフカの団粒化するためには、太陽熱養生処理技術
農業にとって一番大事なことは、何回作っても、毎回、ほぼ同じ結果が得られるという確かな再現性です。確かな再現性を確保し、安定した生産を続けるためには、自然生態系のメカニズムを理解することが重要と考えています。
下記の5つに示す自然生態系に対する基礎知識が備わることで、はじめて目的を達成するための正確な栽培設計図をつくることができます。
- 動物とは明らかに異なる生き方をしている植物の生理メカニズムです。植物は動き回ることなく、生きるために必要なエネルギーや細胞の原料を得ることができます。
- 土壌ができるメカニズムです。岩石が砕けただけでは土にはなりません。そこに有機物が混じって、生物の介在があってはじめて土壌となります。
- 土壌にはたくさんの微生物が棲んでいます。土壌そのものをつくり、植物と共存している微生物たちの役割について知ることは重要です。
- 発酵と腐敗の違い。有機物を発酵させて肥料化して利用する有機栽培において、極めて重要なことです。
- 栄養価の高い農産物づくりを目指すためには、植物がつくる栄養とは何か、作物はどのように、それを生成しているのか。
以上のことが理解できているのと、理解できていないのでは、農業のやり方が根本的に変わってきます。
2.アミノ酸肥料を活用し細胞つくりをUPする
BLOF栽培の目標のひとつに多収穫があります。同じ面積から、より多く収量を上げることを示しています。有機農産物の価格を、誰もが手にすることができる価格に引き下げるために、多収穫はさけては通れない技術的な課題です。まずは、有機栽培が多収穫と高品質を両立し易い栽培方法であることを解説します。
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