こんにちは。インテージの濱です。
今回は、インテージにて健康軸プロジェクトを推進する濱より、健康と食をテーマにした話題に関して、お話ししたいと思います。
2015年4月に開始された機能性表示食品制度に関してご存知ですか?
消費者庁のホームページには、機能性表示食品の定義を「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものです。」と記載されています。
特定保健用食品(トクホ)との大きな違いは、共に科学的エビデンスに基づいた食品である事は同じですが、トクホは国の審査が必要であり、機能性表示食品は事業者の責任において消費者庁へ届出を行うことになっています。
機能性表示食品届出区分(届出件数)
機能性表示食品制度開始から3年
2018年1月9日時点で機能性表示食品は、1,233商品、届出社数は372社となっています。この、機能性表示食品には、サプリメント(いわゆる健康食品)、加工食品、生鮮食品の区分があり、上図のように飲料やヨーグルトを中心とする加工食品が全体の52%を占めています。わずかに届出がある生鮮食品は、農産物が主で「みかん」「もやし」にて、11件の商品届出があるのみです。因みにヘルスベネフィット(表示できる機能性)は共に「骨の健康」となっています。
機能性表示食品制度の認知率(%)
機能性表示食品の購入経験率(%)
機能性表示食品制度と消費者の意識変化
消費者は、機能性表示食品制度により、科学的に立証された食品の機能性ヘルスベネフィット(体脂肪の抑制、整腸・便秘改善、骨の健康など)を店頭にてパッケージなどで確認し、購入する事ができるようになりました。制度開始から約3年間で1,233の商品が届出され、店頭でも機能性表示食品を見かける事が多くなっていると感じられている方が多いのではないでしょうか?
それでは機能性表示制度に関して、生活者はどのような意識を持っているのでしょうか。インテージが2017年9月に6万人規模で実施した『健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート2017年度版』によると、機能性表示食品制度の認知率は、「具体的に知っている」「食品の制度である事を知っている」を合わせて34.5%(2016年は21.3%)、機能性表示食品の購入経験率は54.9%(2016年は31.5%)と、商品数の増加と共に大幅に増加しています。
機能性表示食品のヘルスベネフィット区分(届出数:複数ベネフィットでの届出あり)
機能性表示食品とヘルスベネフィットの関係
機能性表示食品をヘルスベネフィット別に分類してみると、「体脂肪の抑制」「血中脂質の抑制」「血糖値のコントロール」「高血圧予防・改善」など生活習慣病に関するヘルスベネフィットが上位を占め、中位盤には「認知症予防」「抗ストレス・ストレス対策」「不眠・睡眠障害対策」がランクインしています。こうした現代の社会課題や、現代人の不安への対策と関連の深い食品が、2017年には多く商品化されました。
ヘルスケアフーズ市場(狭義)規模(推計) 健康目的による食品・飲料の品目別利用者割合(複数回答)(単位:%)
食品(ヘルスケアフーズ)と健康の関係
生活者の健康意識の高まりにより、前出の機能性表示食品を初めとして、健康や美容・ダイエットを目的に購入した全ての食品を「ヘルスケアフーズ」として、その年間市場規模を弊社にて推計しました。
左図のように、健康食品・サプリメントの市場規模は年間約1.5兆円、トクホや機能性表示食品や、その他健康を目的に生活者が摂取している食品・飲料が年間約1兆円に上ります。
この2つの合計を「ヘルスケアフーズ市場」と定義し年間約2.6兆円のマーケットが存在する事が明らかになりました。
では具体的に、どのような食品がヘルスケアフーズ(健康を目的に購入した食品)として選ばれているのか?食品カテゴリー別に見てみましょう。
上位30位の食品カテゴリーでは、納豆、豆腐類、豆乳などが、栄養の補給・栄養バランスを目的に、ヨーグルト、乳酸菌飲料は整腸・便秘の改善目的に、オリーブオイル、ゴマ油、えごま油・亜麻仁油は、栄養の補給・栄養バランスを目的に、わかめ・昆布類、もすく・めかぶ、海苔、海草サラダは栄養の補給・栄養バランスを目的に、チョコレートは疲労回復を目的に摂取されています。
納豆や、海草など、従来から健康に良いと伝え聞かれていた食品や、ヨーグルトや乳酸菌飲料のように、新たに機能性表示食品制度などにて科学的に効果が立証された食品、チョコレートや、オイル類のように、テレビの健康番組などでその効果を紹介された食品など、生活者は、様々な情報を元にして、より健康のためになる食品を摂取している様子が見受けられます。今後も食品に対する健康指向「ヘルスケアフーズ」への流れは更に強くなると思われます。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
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