消費者は売場で買う商品を決めている
食品スーパーマーケットなどでの消費者の「買い物行動」を考える上で重要なキーワードとして「非計画購買」という言葉がある。これは、来店前に事前に計画していなかった商品の購入を指す言葉である。つまり、売場で商品を見て、そこで購入することが決定された場合、「非計画購買」となる。逆に、来店前に「今日は、〇〇の納豆を買わないと」と考えて来て、その通り買われた商品は「計画購買」ということになる。
では、消費者はどれくらい非計画購買をしているのであろうか?
(出所:(公財)流通経済研究所調査結果)
(公財)流通経済研究所が食品スーパーの店頭で実施した調査によると、1回の買い物で購入される商品のうち、約80%が非計画購買であった。これは、食品スーパーにおいて、カゴに入っている商品のうち、8割はお店の中で選定されているということである。消費者は売場で買う商品を決めているのである。
農産物直売所でも、これと同様の傾向があるのは間違いない。むしろ、時期と生産状況によって商品のラインナップが日々変化する直売所の方が、非計画購買が多い可能性がある。例えば、「今日は、直売所でトマトを買おう」と思って来店した顧客であっても、トマトだけを購入して帰る顧客はほとんどいないだろう。トマトを目的に来店したとしても、店内をざっと見て回り、気になった旬の果物やトマト以外の野菜を購入していく顧客の方が多いと考えられる。
売場で消費者に訴えかけることが重要
顧客は、売場で購入する商品を決めている。そのため、直売所でもっと自分の農産物を売りたいと思った場合、店内(売場)で顧客に対して購入を促すような刺激を与えることが重要である。具体的な刺激の与え方については、今後のコラムで紹介していくが、以下に4つの非計画購買の種類と、それに対応した売場での商品訴求の方向性を示そう。
非計画購買の種類 | 売場での対応の方向性 |
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想起購買 | ストック切れなど、店頭で商品やPOPを見て商品の必要性を思い出し購入すること 【方向性】POPなどで、商品の必要性を思い出させる |
関連購買 | 他の購入商品との関連性から店舗内で必要性を認識し、商品を購入すること 【方向性】関連商材と合わせた陳列(鍋つゆ・漬物の素等)、陳列する場所を直売所と相談して決める(関連する生産物の近くに陳列)など |
条件購買 | 来店時には明確な購買意図を持っていないが、売場で提示される条件により、店頭で購入意向が喚起され、購入すること 【方向性】売場での条件提示(限定〇個、今だけ〇〇等) |
衝動購買 | 商品の新奇性や衝動により、商品を購入すること 【方向性】衝動買いを促すパッケージやキャッチコピー、メニュー提案などの実施 |
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