こんにちは!フィデスの久保京子です。
私は消費生活アドバイザーとして、消費者目線で考えるこれからの食ビジネスのヒントをお届けします。
さて、消費者の食品のネット購入実態を掘り下げるシリーズ、前回の第3回は消費者庁「食品のインターネット販売における情報提供の在り方に関する調査」より、消費者の食品のネット購入理由や重視する情報、ネット購入時に求められる情報等について取り上げました。その結果、インターネットで食品を購入する理由や態度は、購入頻度や利用業態によって顕著な違いがあることをお伝えしました。
第4回は、消費者庁の同調査より、ネット販売では表示を義務付けられていない食品の義務表示事項について、消費者の確認状況とネット購入行動への影響及び、消費者が求める情報提供の方法について取り上げます。
《調査のポイント》
- 9割が食品のネット購入時に義務表示事項を確認する
- 情報を探して確認できなかった場合、76%がそのサイトで購入せず
- 義務表示が確認できない場合、45%が情報提供されている他のサイトで購入する
- 6割以上がサイトの義務表示事項が見にくくて困ったことがある
9割が食品のネット購入時に義務表示事項を確認する
食品をインターネットで購入する場合、約9割の者が何かしらの「義務表⽰事項に係る情報」を確認して購入している。
確認する情報の上位3つは、「原材料」(41.9%)、「消費期限・賞味期限」(41.0%)、「原産地・原料原産地」(35.4%)となっている。
【購⼊時の「義務表示事項に係る情報」の確認状況】
食品をインターネットで購入する場合、義務表示事項に係る情報のうち、どのような情報を確認して購入していますか。(上位3つまで:全体・利用頻度)
情報を探して確認できなかった場合、76%がそのサイトで購入せず
「義務表示事項に係る情報」の提供がない場合、「何かしらの方法で確認する」者が59.0%、「確認しないし、購入もしない」者は22.6%、「確認しないが、 購入する」者は18.4%。
また、何かしらの方法で確認する者のうち、他の方法を使って確認できなかった場合、76.8%の者がそのサイトで購入しない。ただし、週1回以上の利用者は、44.2%が確認できなくても購入する。
【必要とする「義務表示事項に係る情報」が提供されていなかった場合の行動】
必要とする「義務表示事項に係る情報」が提供されていなかった場合、購入前に、必要とする情報の内容を他の方法で確認しますか。(複数回答:義務表示事項に係る情報確認者のみ)
義務表示が確認できない場合、45%が情報提供されている他のサイトで購入する
「義務表示事項に係る情報」が確認できずにそのサイトで購入しない場合の代替手段として、「義務表示事項に係る情報が提供されている他のサイトで購入する」が44.5%、「実店舗に行き、購入する」が39.8%となり、「別の手段を用いて購入しない」は26.2%。
年代別でみると、若い年代ほど「実店舗に行き、購入する」の比率が高い(20代以下:51.3%、60代以上:28.2%)。
利用業態別では、ネットスーパー利用者で「実店舗に行き、購入する」が52.7%と他の業態に比べて高い。
【「義務表示事項に係る情報」が確認できずに購入しない場合の代替手段】
(複数回答:全体・利用頻度・利用業態)
利用業態について:
宅配:実際の店舗を構えず、通信販売でのみ販売する業態のもの。
ネットスーパー:実際の店舗を構えている小売業者が、インターネット上でも販売を行っ ている業態のもの。
お取り寄せ:食品を生産、製造又は加工する事業者が、インターネット上で中間流通業者を介さずに販売を行う業態のもの。
ネットモール:運営者がインターネット上の一つのサイトに、複数の出店者を募って販売 させる仮想市場のこと。
データで見る消費者の食品ネット購入実態(4)-2〜食品の義務表示と消費者のネット購入行動への影響、求められる情報提供方法とは〜に続きます。
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