初めまして、(株)アグリゲート 長谷川です。
アグリゲートは、都心に9店舗を展開する八百屋「旬八青果店」で小売販売を行っていて、仕入れには、大きく3つの経路があります。
- 生産法人や生産者からの直接買い付け
- 中央卸売市場・地方卸売市場での購入
- 自社農場からの直送仕入
私たちが事業を行う中で、失敗と成功を繰り返したことで得た、「流通」、「販売」に関わる情報をお届けし、直接農業を営む方に活かしてもらえると幸いです。
まず今回は、「東京で流通させることの意義」をお伝えします。
およそ10人に1人は東京都民
東京都の人口は、1371万6947人。
大都市とひと口に言いますが、日本人の実に10人に1人が、国土のわずか0.05パーセントに過ぎない東京に暮らしているのです。
これだけの大消費地域を商圏として捉え、自らの生産物を東京で流通させることは決して不可能なことではなく、いかにその流通に乗せるチャンスを得るかが鍵となるのです。
東京で流通させることのメリット
東京で生産物が流通することの、メリットは大きく3つ考えられます。
まずは、「商品価値の向上」。
東京で販売されることは、それ自体がブランディングに大いに役立ちます。
「○○(大手百貨店)で販売されました」とか、「○○(物産展)で取り上げられました」などと紹介することができれば、ひと目で一定の価値があることを証明してくれます。また、人目に触れる機会が増えることとなり、メディアに取り上げられたり、SNSで発信されたりする機会も多くなっていきます。
次に、「競合を知る」機会になるということです。
東京で販売することで、実は競合となる商品が多くあることに気がつくかもしれません。競合との出会いは、相手を知るチャンスと同時に、自らを知る、そして高める絶好の機会でもあります。
そして最後は、「遠方の消費者との出会い」の場となることです。
人、モノ、金が集まる大消費地・東京で流通すれば、それだけ多くの人の目に触れることになります。それは、東京在住者だけではなく、地方から東京に出入りする人もターゲットになります。つまり、東京は地方と地方をつなぐ場なのです。
丹精こめて栽培した生産物を多くの人に届けたいという生産者の想いと、おいしい生産物を食べたいという消費者の欲求。それらをマッチングさせることができるのは、東京という人、モノ、金が集まる大商圏だからこそできることで、現在の出荷先や流通ルートに限らない、新たな出会いを生み出せる可能性があります。
アグリゲートの取り組みとして
冒頭でもお伝えした都内に9店舗を置く街の八百屋・旬八青果店では、全国各地の青果物を取り扱っていて、月の利用客はのべ5万人、月商は300万円を超えます。業界では群を抜く数値と言われています。
これらの数字は産地を回り、自ら商品を仕入れることで、実現しています。また、店頭のスタッフが、流通のアンカーとしての責任を負い、一番おいしく食べてもらうための提案をしながら消費者に販売することも、重要な要素と考えています。
ここまで、東京での流通の魅力をお伝えしてきましたが、現状の販路に加えて東京で流通させることは、必ずしも簡単に着手できることばかりではありません。たとえば、生産量の問題やコストなどの課題も考えられます。
アグリゲートでも、鮮度のいい青果物をより多くの人に届けるために、惣菜やお弁当として販売する「旬八キッチン」や、飲食店で直接提供する蕎麦屋「さ竹」を展開しています。「超狭域ドミナント出店戦略」をとり、八百屋での販売だけにとどまらない仕組みを整えることで、東京で流通させる土台を築いてきました。
次回はこれらを踏まえて、「東京で流通させることの課題」について、具体的に考えていきます。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
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