こんにちは、(株)アグリゲートの長谷川です。
アグリゲートは、都心に9店舗を展開する八百屋「旬八青果店」で小売販売を行っていて、仕入れには、大きく3つの経路があります。
- 生産法人や生産者からの直接買い付け
- 中央卸売市場・地方卸売市場での購入
- 自社農場からの直送仕入
自分たちが事業を行う中で、失敗と成功を繰り返したことで得た、「流通」、「販売」に関わる情報をお届けし、直接農業を営む方に活かしてもらえると幸いです。
前回、東京での流通の意義を解説しましたが、今回は、「生産物を東京で流通させる上での課題」についてお伝えします。
適正価格で商品を購入する難しさ
よく耳にする「東京は物価が高い」という言葉。
言い換えるならば、「物が溢れる東京では、適正な価格で手に入れることが難しい」ということです。
様々な物流のネットワークを経由した商品には、その段階ごとにコストが加算されていきます。東京の消費者の手元に届くころには、商品価値を大きく上回る値段がつけられることも珍しくはありません。
競合する商品も多いため、話題となっているものやこだわりのもの、希少価値のあるものには高い値段がつくこともあり、そこには買い求めたい消費者も存在します。そう考えると、人・モノ・金の集まる東京では、より高いお金を払って商品を買うことは簡単であり、適正価格で買うことこそが難しいのです。
労力とコストという課題
東京進出を目指す場合、切っても切れない、労力とコストという課題を解決しなければなりません。
新たに事業を展開する場合、準備、始動、継続をしていくためには、大きな労力が必要となります。これまで着手する必要がなかった作業が発生し、負担に感じることもあるかもしれません。
さらに、労力や手間がかかるだけでなく、当然のことながら、人件費などのコストもかかってきます。
取り組み始めは、体力面や収益の面でも忍耐の時期が一定期間続くかもしれません。また生産量などの調整が必要となってくることでしょう。
しかし、前回「東京で流通させる意義」でお伝えしたように、それ以上に挑戦するべき理由が、東京にはあるのです。そこで必要となってくるのが、計画性と継続性です。
必要なのは計画性と継続性
勢いに任せてはじめてみても、その後続けていくことが困難になってしまっては意味がありません。東京進出を目指す上で欠かせないのが、計画性と継続性です。継続してこそ評価を得ることにつながることは、言うまでもありません。
どの商品を、いつ、どこへ、どれくらい出荷し、いくら売り上げて、いくらの利益が出るのか。しっかりとビジョンを描くことが非常に重要です。「継続できる計画」を立案することで、労力やコストは負担ではなく、今後への投資となり、きちんと向き合うことができるのです。
アグリゲートの試みとして
アグリゲートでは、自社で物流のネットワークを構築しています。それは小売業を営む弊社が自ら物流を企画・運営し、新しい物流の在り方を作り上げるということです。
例えば、「相乗り物流」という方法。農家さんが、すでに使用している市場へ出荷する既存の便に、弊社への納品物も一緒に乗せてもらいます。そして、市場到着時に商品を引き取ります。この方法により、単独で配送する場合よりもはるかにコストを抑えた効率的な仕組みを実現でき、旬八青果店が掲げる「新鮮・おいしい・適正価格」での販売が可能となるのです。
「超狭域ドミナント出店戦略」で、店舗が一定のエリアに集中しているため、倉庫から店舗までの配送も効率よく行うことができています。
また、弊社が所有する自社農場においては、年間計画を立て、生産性を高めるために日々研究を続けています。一方契約農家さんとも、信頼関係のもと、密にコミュニケーションを図り、時に顔と顔を合わせて徹底的に話し合う場を設け、要望や生産状況の共有をしています。農家と小売りが一体となって生産することで、日本各地の産地や市場から、よりおいしい青果が消費者に届けられるのです。
すべてを一から作り上げるのではなく、既存の仕組みを俯瞰で捉え、そこから工夫することも重要なポイントです。直面する課題を柔軟に解決してきたアグリゲートの取り組みは、最近では、メディア等でも多く取り上げられるようになってきました。
次回は、「短期出店と商談会」についてお伝えします。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
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