こんにちは。株式会社CAMPFIRE FAAVO/CAMPFIREローカル事業部責任者の齋藤です。私は2018年7月にCAMPFIREにジョインし、主に地域の中でのクラウドファンディング活用を担当しています。
実は、事業部名にもある通り、もともと「地域×クラウドファンディング FAAVO」という名前でCAMPFIREとは別のクラウドファンディングサイトを別会社で運営しており、その事業ごとCAMPFIREに事業譲渡したのがきっかけで今この会社で働いております。
FAAVOとは
FAAVOは、「FAVORITE+ACTION」の頭文字をとって組み合わせた造語で、地元を出て都市部で生活している方々に、今の地元ともう一度つながってもらいたい、好きな気持があるのであれば、ぜひアクションを伴って欲しいという意味で名付けました。民間版のふるさと納税のようなサービスだとよく言われます。サービスローンチ当初は、私の出身地である宮崎県の案件のみを扱った「FAAVO宮崎」という一つのエリアから開始したのですが、フランチャイズの制度も組み入れ、2018/11現在、全国98の地域で展開しています。
実は、この媒体のテーマである「農業」は、FAAVO立ち上げの大きなきっかけとなっています。東日本大震災の1年前の2010年。農業県である宮崎県はとてつもなく大きな農業被害をうけました。口蹄疫、鳥インフルエンザ、新燃岳の噴火という災害が続いたのです。この年、都市部在住の宮崎出身者たちが、初めて地元のために具体的な募金活動などの呼びかけをして活動しているのを目の当たりにし、地元を思う人々の行動力の凄さと尊さを感じました。
そして翌年2011年、東日本大震災が発生。信じられない数の方々がその犠牲となり、そしてその何倍も途方もない数の人々が家族を失いました。いつ天災が起こるかは誰にも分からない。地元のために動きたいという思いがあるのに、それを諦めたり先延ばしにするのはもったいない。そういう思いから、「都市部にいながら、地元にライトにアクションできるサービス」としてFAAVOを立ち上げました。
FAAVOは「クラウドファンディング」の「地方版」でなく、「出身地と出身者をつなげる」サービスとして、クラウドファンディングはあくまで手段と捉えています。この点にサービスとしての本質を置いているからこそ、地域で独特の立ち位置を獲得できてきたのかもしれません。
2012年に運用を開始して6年が経ちました。FAAVOは地域の事業者や自治体などに現地運営を依頼する「エリアオーナー制度」を取り入れて拡大し、地域でクラウドファンディングを行いたい起案候補者に現地で直接相談に乗れる体制を整えています。さらに2017年1月にはFAAVO発祥の地である宮崎県宮崎市にサテライトオフィスを開設。私自身もUターン移住し、宮崎にオフィスを構えました。地域を語ってビジネスをしている人間として、地域の今現在を知らずに語っていることに違和感を感じたことが移住の理由です。もっと地域にコミットしたいと思い、2017年一年間、脇目も振らず地域でのクラウドファンディングの可能性を宮崎で改めて突き詰めました。そうすると、これまでなかなかクラウドファンディングの現場に出てこなかった方々に利用いただくことが増えてきました。それが農家の方々です。
農家のみなさま、今こそクラウドファンディングを!
クラウドファンディングは、昨今テストマーケティングの側面が強くなってきています。
コンテンツを持つメーカーや音楽レーベルが、新製品や新曲の発売、イベント開催時に世間のニーズを確認するためクラウドファンディングを使って事前にマーケティングを行うのですが、海外では新製品開発時にクラウドファンディングキャンペーンを行うのは当然になってきています。そのような流れのもと、今こそクラウドファンディングを利用して成長していくべき産業こそ農業ではないでしょうか。
もちろん今までどおりのやり方を否定するつもりはありませんが、趣味趣向が多様化している現代において、スーパーにもよく見かけるようになった「◯◯さんがつくった野菜」というのが訴求力があるのは明白です。最寄りのスーパーでも「◯◯県の◯◯さんが栽培しました!」というPOPを目にしたことのある方がいるでしょう。人々は顔が見える安心感を求めるだけでなく、そこに単純な美味しさだけでない、指名農家の野菜を買っているという満足感を得ているのです。SNSが普及し、かつての画一化された情報統制の時代が終焉を迎えた今、人々は寄り添うコミュニティを探しています。会社組織だけでなくSNSを通して個々人の思想まで様々な分野で価値観を共にする新しいオンライン上のコミュニティ(共同体)ができてきています。
農家のみなさんにおいては、通常の農作物生産だけでなく、積極的に「稼いでいく」生産が両立できる環境が整ったと言えるのではないでしょうか。通常の規格通りの農作物を生産しつつ、自社製品を使った加工品の製造と販売にもチャレンジできる。アイディアさえよければ、在庫を抱える前に世間のニーズを確かめてから低リスクで新規事業に参入できる。手を出したくても出しきれなかった農家のみなさまにとって、かゆいところに手が届くようなサービスとしてクラウドファンディングは認知されつつあるのです。
これからの農家に求められるもの
旧来のやり方を否定するわけではありません。ただし、人口が減って担い手の少ない農業分野だからこそ、もっともっと新しいものを取り入れていくべきだと考えます。クラウドファンディング以外にも、アグリテックと呼ばれる農業のオートメーション化を推進するようなAIを駆使したサービスや、ドローンを使った農地管理、自動運転技術など、これまでには考えられないような技術が生まれています。農業という根強く旧来のやり方を残している分野こそ、逆転の発想をすると、イノベーションの余地が大きいということです。そこに携わる農業のこれからを担う従事者のみなさまには、ぜひ新しいサービスやテクノロジーに興味を持ち、まずはやってみるという精神でいてもらうことを期待します。その一環としてクラウドファンディングで、みなさまの事業の成長をお手伝いできることができれば、うれしいです。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
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