HACCPの12手順7原則 「手順11〜12」
手順11は検証手順を設定する。
一般衛生管理とHACCPで安全管理をしているが、本当に安全になっているかを検査。主たるものは、まずは一般衛生管理で、これは従事者も含めた工場環境がきれいになっているかを拭き取り検査などで調べる。そして製品そのものが安全に出来ているかを、細菌検査を行う。どちらも方法と頻度を決めて継続して行うことになる。製品の細菌検査は取引先からの要求で行っているだけのところもあるが、それでは自主的に安全の検証をしているとは言えない。次に、検査機器の検証がある。これは温度計やph計、ブリックス測定など、製造での検査機について、重要なところを検査しているのだから、もしこれらの検査機が狂っていたら大変だ。実際に温度計が狂っていることは結構ある。
検査機それぞれについて、どのような方法で精度確認(校正)を行うのかを決める。どのような工場でも使用する温度計の精度確認において、複数の温度計を使っているなら、毎月一回、集めて温度表示させるのが最も簡単で、狂っているのがあったらわかる。一本の温度計だけなら、大きめのコップに氷いっぱいの氷水を作り、よくかき回してから温度を測り、0℃になっていればいい。どのような測定器でも精度確認方法はあるので、わからなかったらメーカーに聞いてみる。
最後の手順12は記録の維持管理方法だ。
一般的に記録の保管は一年間が多い。しかし缶詰や乾麺など期限が長い製品は期限プラス1年といった方法を取る。製品を米国に輸出している場合、米国側の法律によって記録は2年間の保管が必要になる。記録は紙でなくても、最近は電子的にパソコンで記録できる方法がいろいろ出て来ているので利用すると便利だ。紙の記録が多くて保管が大変な場合、スキャナーで読み込んでCDに焼く方法もある。記録のリストを作っておき、それを元に管理するとわかりやすい。
製品によるCCP(重要管理点)とOPRP(重要清潔箇所)の例をいくつか見てみる。
ソーセージ製造ではスモーカーでの中心温度測定がCCPになるが、そのあと冷却してパックするまでの工程をOPRPにしているところが多い。つながったソーセージを切り離すハサミ、使用するコンテナなどを作業直前に拭き取り検査をして、合格なら作業を開始してもよい。だめなら再洗浄する。そして最終の金属探知機がCCP。カット野菜は、殺菌水の濃度と時間の組み合わせ、例えば〇〇ppmで90秒を連続洗浄機で、というようにする。そして最終の金属探知機がCCP。
拭き取り検査だが、ATP検査はその場で数値が出る。
http://biochemifa.kikkoman.co.jp/products/kit/atpamp/
簡単で低コストなものに「プロチェックE-W」があり、一箇所15円で出来る。色の変化ですぐにわかる。
http://www.nikken-bio.co.jp/product/detail.php?id=7900
精肉パックは最終のスライサーやまな板、ナイフをOPRPにしたり、あるいはスライスした肉の温度が上がると問題が出るので、表面温度を7℃以下に抑えるのをOPRPにしているところもある。刺身用のイカはスライスする前に殺菌水に漬け込み洗浄するところをCCP。スライスするナイフ、まな板、スライサーをOPRPにしているところがある。マルチスラーサーは多くの丸刃の間とそれに組み合う溝が入ったローラーの間に次第に汚れが溜まってくるので、例えば2時間ごとに刃を替えて洗浄しながら作業する。
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