公開日
複数名で共同経営をしていますが、1名が退職等した場合、現在無償で法人が借りている当人の農地について、そのまま法人が借りつづける場合と、法人が取得する場合のメリット・デメリットを教えてください。
畑地については、所有地でなく借入地であっても利用においては大きな差はありません。にもかかわらず法人が農地を取得する場合は、農地の購入によって法人の資金が流出することになりますので、財務内容が悪化するおそれがあります。ただし、その農地が園芸施設や果樹園の農地である場合は、事業の継続性の観点から、あえて法人所有とすることも考えられます。また、農業経営基盤強化準備金の多額の残高があり、農地を購入しても財務内容の大幅な悪化を招かないと見込まれるときは、農地を取得したうえで圧縮記帳することも一つの選択肢となります。ただし、農地を売却した個人は譲渡所得について所得税の確定申告を行い、譲渡所得税が生じれば納税する必要があります。
農地を借り入れる場合、退職後は給与の支払いがなくなるため、使用貸借(無償貸与)はなじみません。したがって、農用地利用集積計画による利用権設定を行うなど、近傍類似の農地賃借料を参考として賃貸借契約に変更することになります。この場合、新たに農地賃借料が発生することになりますが、一方で給与へ上乗せしていた分の負担が無くなるため、実質的には負担が増えることにはなりません。なお、この場合、農地の所有者は農地賃貸料について毎年、不動産所得として所得税の確定申告を行うこととなります。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。