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農業近代化資金によりコンバインを取得した場合、経営基盤強化準備金の戻入と圧縮記帳等、税制面でどのような影響がありますか。
農業近代化資金の使途としては、「農機具の取得に要する資金」のほか長期運転資金がありますが、長期運転資金としてではなく「農機具の取得に要する資金」として借り入れた農業近代化資金で農業用機械等取得した場合、「農用地等を取得した場合の証明書」が発行されないため、農業用機械等を農業経営基盤強化準備金制度の対象として圧縮記帳することはできません。農林水産省では、農業用機械等の取得資金の全額について農機具の取得のための制度資金等の資金をもって取得したことが明らかな場合には「農用地等を取得した場合の証明書」を発行しないとしています。なお、農業経営基盤強化準備金制度の圧縮記帳では、確定申告書に「農用地等を取得した場合の証明書」の添付がある場合に限って適用されることになっています。
これに関連して、経営体の機械等の導入に対する融資残補助を行う「融資主体型補助事業」において、実際に証明書を発行できなかった事例があります。過去に農林水産省が示した「農業経営基盤強化準備金Q&A」(平成22年1月)において「農業用機械の取得のために制度資金を借り入れたが、準備金も積み立てていました。扱いはどうなるのでしょうか。」という問いに対して「税制度と融資制度は異なる制度ですので、準備金を利用することは可能です。ただし、コンプライアンス上の問題があります。」としていましたが、これは、農業用機械等の取得にあたり、制度資金と準備金を両方活用した場合、取得費のうち準備金を充てた金額に対して圧縮記帳ができますが、取得費の全てを圧縮記帳することはできないという趣旨だということです。
農業経営基盤強化準備金制度の根拠法である租税特別措置法では、所有権移転外リース取引により取得したものを除外する一方で所有権移転リース取引については除外していません。このことから、対象となる農業用固定資産の取得の際の原資について、法律上、直接には制限していないと解釈できます。しかしながら、農林水産省では、認定計画に従って行う農業経営基盤強化に要する費用の支出に備えるため、準備金を積み立て、投資額を蓄積するという農業経営基盤強化準備金制度の趣旨からすると、これに見合う現金預金を備えるものと考えています。
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