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自社施設の罹災
自然災害や火災、大規模交通事故などにより、農場や牧場などが罹災することがあります。圃場においては作物自体への被害はもちろん、畜舎や園芸用ハウスなどの施設が、加工場や事務所では建物等が被害を受けることが考えられます。
ライフラインの中断
大規模な自然災害や火災では、停電や断水などが発生するおそれがあります。
まずは、従業員の安全・衛生の確保や健康管理が重要な課題になります。園芸用ハウスの温度や給水等の管理を自動で行っている場合には、停電によりその管理に狂いが生じる可能性がありますし、断水により作業に必要な水の確保ができない可能性もあります。
地域全体が被害を受けた場合には、近隣のガソリンスタンドで給油ができなくなったり、街灯が点かず安全な交通が確保できなかったりするおそれもあります。
電話やインターネット回線に混乱が生じた場合には、被害やライフラインに関する正確な情報を入手することすら難しくなります。
隣接物への事故
このような罹災は、自社が直接の被害者でなくとも起こり得ます。隣接した建物や施設が被害に遭えば、例えば、そこに保管されていた油や薬品が流出したり、柵などが自社の圃場に倒れてきたりして作物を傷めてしまう可能性もあります。
BCP(事業継続計画)
このような事態に対応するため、事業継続計画(Business Continuity Plan、略して「BCP」)を立てることが推奨されます。
BCPは、自然災害などの緊急事態が発生した場合に、損害を最小限にとどめ事業の継続や早期復旧を可能とするために、平常時から、緊急時に実施する方策や対応を定めておく計画です。
優先的に復旧するべき事業を決める、事業拠点(圃場や加工場等)の広域分散などの代替策を用意する、緊急時の対応について従業員との意思疎通を図っておく等々が考えられますが、その具体的内容は事業者によって様々です。
身近なところから事業継続の準備を
突然に発生するのが緊急事態です。日本の多くの農業者は中小事業者ですので、緊急時の対応を誤れば廃業に追い込まれる可能性も否定できません。大がかりな計画が難しい場合にも、身近なところから対策を講じておくことが大切です。
大規模自然災害などでは、国や自治体による支援策が採られる場合もあります。どのような情報をどこで入手できるかの整理も事前にできる準備です。
自然や他人は、自分がコントロールできるものではありませんので、どんなに予防措置をとっても、罹災しないという保証はありません。そこで、罹災しても損害を最小限にとどめ、可能な限り早期に安全に事業を再開できるようにするための計画を、事前に立てておくことが非常に重要になります。
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