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観光農園による果物狩りの入園料と果物の販売
観光農園による販売は、果物狩りの入園料を対価とする場合も含めて、収穫時の形状で販売するものです。
個人農業者の場合、農産物を収穫時の形状で販売する場合の所得は農業所得となります。
農業法人の場合、観光農園が定款の目的や事業として掲げられていれば、売上高に計上することになります。
これに対して、消費税では、果樹園での果物狩りの入園料は、顧客に果物を収穫させ、収穫した果物をその場で飲食させるといった役務の提供に該当します。
このため、入園料として受け取る場合は、「飲食料品の譲渡」に該当せず、消費税の軽減税率の適用対象となりません。
一方、収穫した果物について別途対価を受け取って販売する場合は、「飲食料品の譲渡」に該当し、消費税の軽減税率の適用対象となります。
このため、入園料と果物代金の売上高は、それぞれ別の勘定科目または補助科目で経理する必要があります。
宅配便などの送料の取扱い
観光農園では、顧客からの依頼に基づいて送料相当額を農産物代金とは別に受領して農産物を配送することがあります。
この場合の送料相当額を売上高に計上した場合、送料は飲食料品の譲渡の対価ではありませんので、消費税の軽減税率の適用対象になりません。
ただし、顧客負担の送料相当額は預り金として経理することができます。これは、相手先から委託配送料金を消費税の課税売上げと明確に区分して収受し、預り金として処理している場合は課税売上げに含めないことができるからです。
顧客負担の送料相当額は預り金として経理することで課税売上高が減少することになり、簡易課税制度を選択している場合に納税額が軽減されたり、簡易課税制度の適用可否や課税事業者の判定の際に使う課税売上高を圧縮したりする効果があります。
これに対して、送料込みで農産物を販売するなど、別途、送料を求めない場合は、送料込みの農産物の販売対価は消費税の軽減税率の適用対象となります。
観光農園内の売店による販売
観光農園が園内で運営する売店で飲食料品を販売する場合、顧客が園内において食べ歩く場合や、売店の管理の及ばない園内に点在するベンチで飲食する場合は、売店にとっては、単に飲食料品を販売しているにすぎないことから、「飲食料品の譲渡」に該当し、消費税の軽減税率の適用対象となります。
一方、売店の管理が及ぶテーブルや椅子などで顧客に飲食させる場合は、「食事の提供」に該当し、消費税の軽減税率の適用対象となりません。
このため、販売の際に、顧客に対してその場で飲食するかどうかの意思確認が必要となります。この場合の意思確認は、「売店のテーブルを使用する場合はお申し出ください」といった掲示により行うことができます。
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