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農事組合法人の農業の法人事業税非課税
農地所有適格法人である農事組合法人が行う農業については事業税が非課税になっています。
この場合の「農業」とは、耕種農業を指しますので、農産物の仕入販売や農産加工、施設畜産は、非課税となる農業の範囲から除かれます。
また、農作業受託は、原則として非課税の対象から除かれますが、その収入が農業収入の総額の2分の1を超えない程度のものであるときは、非課税の取扱いがなされています。
出資口数割合の基準
法人事業税が非課税となる農事組合法人には、農民以外の組合員の出資口数割合の基準があります。組合員がすべて農民であれば、基準を満たすことになりますが、組合員に農民以外が要る場合は、基準を満たす必要があります。
【基準】
次の①〜④の者の出資口数の合計が総出資口数の 1/2 以下かつ、②〜④の者の出資口数合計が総出資口数の 1/4 以下であること
① 農業協同組合・農業協同組合連合会
② その農事組合法人からその事業に係る物資の供給又は役務の提供を受ける者等
③ ②(法人である場合に限る。)の代表者又は代理人、使用人等である組合員
④ ③以外の者で、②から受ける資金で生計を維持している組合員
このほか、現物出資を行った農地中間管理機構やアグリビジネス投資育成(株)が農事組合法人の組合員となることができます。
ただし、これらの出資口数は、農民以外の組合員の出資口数割合の基準には関係しませんので、たとえばアグリビジネス投資育成(株)から出資を受けたことで法人事業税が課税されることはありません。
農地所有適格法人の適否
法人事業税が非課税となる農事組合法人は、農地所有適格法人に限られます。農地所有適格法人となるには、A法人形態要件、B事業要件、C構成員・議決権要件、D役員要件、の4つの要件をすべて満たす必要があります。
ただし、農事組合法人であればA法人形態要件を満たすうえ、C構成員・議決権要件による判定は不要となります。
このため、農事組合法人の場合はB事業要件とD役員要件を確認することになります。このうちB事業要件は、その法人の主たる事業(直近3か年の売上高の過半)が農業(農業関連事業を含む)であることです。
農事組合法人は、農業に係る共同利用施設の設置の事業(1号事業)と農業経営(2号事業)、これらの付帯事業しか行えないことになっています。
このため、1号事業や付帯事業の売上高が全体の売上高の半分を超えない限り、B事業要件を満たすことになります。
D役員要件は次の両方の条件を満たす必要があります。
① 理事の過半が農業(販売・加工等含む))の常時従事者(年間 150 日以上)であること
② ①の理事または重要な使用人のうち1人以上が農作業に年間 60 日以上従事すること
農業経営を行う農事組合法人であっても、たとえば、水田転作の大豆の栽培のみで水稲の栽培は行わない場合、農業に従事する日数が①の要件を満たさず、農地所有適格法人に該当しないことがあります。
非課税所得の計算
区分計算、すなわち事業税の課税事業と非課税事業とを区分して計算している場合は、区分計算に用いた計算書等を法人事業税の申告書に添付します。
一方、区分計算を行っていない場合は、各都道府県で定める計算書によって所得金額を按分し、非課税分の所得金額を計算してこれを所得金額から控除して事業税の課税標準となる所得の計算を行います。
非課税分の所得金額の計算は次のとおりです。
A課税標準の基礎となる総所得×B農業に係る収入/C総収入=非課税分の所得
上記の計算式においてそれぞれの計算要素は次のように計算します。
A.課税標準の基礎となる総所得
第6号様式別表5「再仮計⑰ 」の金額です。ただし、農業経営基盤強化準備金積立額の損金算入額や農用地等を取得した場合の圧縮額の損金算入額がある場合は、これを控除した金額となります。
B.農業に係る収入
耕種農業に付随する収入②≦耕種農業の収入①×1/2の場合:①と②の合計
耕種農業に付随する収入②>耕種農業の収入①×1/2の場合:①のみ
① 耕種農業の収入
・耕種農業の農産物・副産物の販売収入
・耕種農業に直接関連して交付される国・地方公共団体等からの補助金等
・農産物の減収補填を目的として支払われる共済金等
② 耕種農業に付随する収入
・農作業受託料・農業機械・施設の利用料
・農産物・副産物の加工品(必要最低限の加工を除く)の販売収入
・付随事業に対して交付される国・地方公共団体等からの補助金等
③ その他の収入
・雑収入(還付加算金など、上記①及び②、④に該当しないもの)
・受取利息
・受取配当金
・受取共済金のうち農機具共済金
④ 除外収入
・各種引当金及び準備金の益金算入額
・土地等の譲渡に係る収入金額・従業員の社宅、寮、駐車場等の使用料収入及び食事代収入
・収入金額に計上した国税及び地方税に係る還付金、充当金及び過誤納金の額(還付加算金を除く)
・減価償却資産の売却収入金額
・購入たな卸資産に係る仕入割戻し(リベート)の額として収入に計上した額
・国庫補助金等の補助金収入のうち固定資産の取得又は改良を目的とするもの
C.総収入
上記Bの①〜③の合計
当該コンテンツは、「アグリビジネス・ソリューションズ株式会社」の分析・調査に基づき作成されております。