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決算書の種類
青色申告決算書には、一般用、農業所得用、不動産所得用の3種類に加え、現金主義用があります。
漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営む場合は一般用、農業を営む場合は農業所得用、土地や建物など不動産の貸し付けを行う場合は不動産所得用を使用します。
小規模事業者で現金主義の特例を受けるため税務署に届出をしている場合は、現金主義用を使用します。
複数の業務を営む場合
農業者が主として自家栽培した原材料を使用して製造、加工を行う場合の農産加工は、農業の活動とされます。例えば、精米、荒茶、梅干し、干し大根、畳表、干し柿、干し芋、乾ししいたけなどを生産・加工して販売する場合、農業所得用の青色申告決算書の農産物の販売金額欄にこれらの農産加工品の販売金額を記載します。ただし、農産加工でも、主として他から購入した原材料を使用する場合や、同一構内に工場、作業所とみられるものがあり、その製造活動に専従の常用従業者がいるときは、農業の活動とされません。この場合は、農産物の生産に係る部分は農業所得用の決算書を作成し、農産加工に係る部分は一般用の決算書を作成します。
栽培した農産物を原材料に製造、加工を行ったときは、加工用に使った農産物の時価相当額を農業所得用の決算書に事業消費金額として収入に計上し、同額を一般用の決算書に仕入金額として計算します。また、農産加工に係る販売金額は、一般用の決算書に計上します。個人事業税について、農業は非課税ですが、農産加工は課税されることから、青色申告決算書は別々に作成する必要があります。
また、農業者が土地や建物など不動産の貸し付けを行う場合は、農業所得用と不動産所得用、それぞれの決算書を作成します。
なお、上記のように複数の業務を営む場合、損益計算書は別々に作成しますが、貸借対照表は、業務ごとに作成しても合算して作成しても、どちらでも構いません。一般的には合算して一つの貸借対照表を作成します。
所得税の申告
所得税の申告では、一般用の決算書で算出された営業等所得の金額、農業所得用で算出された農業所得の金額、不動産所得用で算出された不動産所得の金額を、所得税の確定申告書において合算します。
その他、給与所得や年金などの雑所得等、総合課税に分類されるものがある場合も合算します。この合算した金額から所得控除の合計額を差し引いた課税総所得金額に、所得金額に応じた税率を乗じて所得税額を計算します。
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