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定期健康診断
定期健康診断は、労働者を使用する事業者すべてが行う義務があります(安全衛生法66条、労働安全衛生規則44条)。事業者は、従業員に対して健康診断を実施する義務を負っています。これは、従業員の数や経営の規模を問いません。
また、50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出しなければなりません。
健康診断の回数は、原則として年1回ですが、深夜勤務等に常時従事する労働者を使用するときは、年2回となります。
なお、個人ごとに健康診断個人票を作成し、これを5年間保存しなければなりません。 定期健康診断項目は次表のとおりですが、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、次表の右欄の項目を省略することができます。
健康診断の結果、必要があると認めるときは医師または歯科医師の意見を勘案し、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などの措置を講じなければなりません(労働安全衛生法第66条の5)。また、「特に健康の保持に努める必要があると認める労働者」については、医師や保健師による保健指導を行わせるよう努める必要があります(労働安全衛生法66条の7)。
定期健康診断の内容
定期健康診断項目 | 省略項目 |
---|---|
既往歴、業務暦の調査 | |
自覚症状及び他覚症状の有無の検査 | |
身長、体重、視力及び聴力、腹囲の検査 | 身長・・・20歳以上の者 聴力・・・(35歳及び40歳の者を除く)45歳未満の者は、医師が適当と認める聴力検査に代えることができる。 腹囲・・・40歳未満のもの、妊婦、BMIが20未満のものなどは医師の判断で省略可能 |
胸部エックス線検査、喀痰検査 | 喀痰検査・・・胸部エックス線検査で異常のない者 |
血圧の測定 | |
貧血検査 | (35歳の者を除く)40歳未満の者 |
肝機能検査 | |
血中脂質検査 | |
血糖検査 | |
心電図検査 | |
尿検査 | 尿中の糖の有無の検査・・・血糖検査を受けた者 |
パートタイム労働者の健康診断
パートタイマーも労働条件によっては、健康診断を受けさせる義務が生じます。パートタイマーの健康診断については、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パート労働法)とこれに基づいた指針「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善のための措置に関する指針」によって次のように明記されています。
事業主がパート労働法の一般健康診断を行うべき常時使用する短時間労働者とは、次のイおよびロの双方の要件を満たす者であること。
イ 期間の定めのない労働契約により使用される者であること。なお、期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の更新により1年以上使用されることが予告されている者および当該労働契約の更新により1年以上引続き使用されている者はこれに含む。 ロ その者の1週間の労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。 |
なお、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満である短時間労働者であっても上記①の要件に該当し、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間のおおむね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施することが望ましいとされています。
雇入れ時の健康診断
雇入れ時の健康診断は、常時使用する従業員を採用した際の健康状態の把握、適正配置、採用後の健康管理に役立てるためのものです。したがって雇入れ時の直前か、直後には健康診断を行わなければなりません(安全衛生法66条、労働安全衛生規則43条)。
常時使用する従業員とは、身分、名称に関係なく、また原則として週30時間以上就労する期間の定めのないパートタイマー(雇用期間が定められている場合は引き続き1年以上働いているか、その見込みがある場合)も含まれます。
健康診断項目は次のとおりですが、省略項目はありません。
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状および他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、視力および聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の検査
- 貧血検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
上記の項目について、3か月以内に健康診断を受けていて、その証明書を提出した場合には、その項目については省略してもよいこととされています。
当該コンテンツは、「キリン社会保険労務士事務所」の分析・調査に基づき作成されております。