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休暇

更新日

2019年08月30日
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休日と休暇

休日

休日は、労働契約において、労働義務がないものとされている日をいいます。たとえば、「我が社の休日は毎週日曜日」と言った場合は、労働者は、毎週日曜日は労働する義務がないということになります。

休暇

休日と異なり休暇は、労働者が就労する義務を負う「労働日であることが前提」です。本来、労働契約上労働を義務づけられている日に労働者の申出に基づき個別的に使用者から就労義務の免除を得た場合、その日を休暇と言います。休暇のうち、連続して取得することが一般的であるものを「休業」と呼んでいます。

有給休暇と無給休暇

休暇には、法律で用意することが義務づけられているものと会社が独自に用意しているものと2種類あります。法律で義務付けられている休暇の代表的なものが「年次有給休暇」(年休)です。年休は、労働者の申出に基づき労働が免除される日ですが、この休暇日に対して使用者には賃金の支払いが義務づけられています。

法律で義務づけられていませんが、多くの会社が用意している休暇に「慶弔休暇」があります。労働者が結婚する、子供が生まれた、親が亡くなった、等といった場合に労働者の申出に基づいて付与する休暇です。この休暇日を有給にする、しないは会社の自由ですが、多くの会社は有給としています。

法律で用意することが義務付けられていますが、有給、無給どちらでもよいものに、例えば「生理休暇」があります。使用者は、生理日で労働が困難な者には、本人の申出によって休暇を与えなければなりませんが、有給にしなければならないとはされていません。

休暇は、労働者の権利として就業規則に記載することが義務づけられています。法律で有給が義務づけられているもの以外の休暇については、混乱や誤解を招かないよう有給か無給かを明記する必要があります。

年次有給休暇(年休)

労働基準法で定められた年休は、従業員が、6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上の日数を勤務すると10日取得できます。

年休の付与日数は下表のとおりです。当該年度に消化しきれなかった年休は、翌年度に限り繰り越されます(労働基準法39条)。

勤続年数 年休付与日数 勤続年数 年休付与日数
6か月 10日 4年6か月 16日
1年6か月 11日 5年6か月 18日
2年6か月 12日 6年6か月以上
毎年
20日
3年6か月 14日

年休の比例付与

パートタイム労働者等で所定労働時間が一般従業員と比較して短い者についても、当然年休を付与しなくてはなりません。所定労働日数の少ない労働者に対しては、年休を下表のとおり「比例付与」することになります(労働基準法3項)。具体的には、次の2種類の労働者が比例付与の対象となります。

      • 労働時間が週30時間未満であって、かつ週の所定労働日数が4日以下の労働者(週所定労働日数が4日以下でも週の所定労働時間が30時間以上の者は正社員の表に基づく)
      • 1年間の所定労働日数が216日以下の労働者(週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合)
週の所定
労働日数
1年間の所定
労働日数
勤続年数に応じた年次有給休暇日数
6か月

1年
6か月

2年
6か月

3年
6か月

4年
6か月

5年
6か月

6年
6か月
以上

4日 169日〜216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日〜168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日〜120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日〜72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

年休の取得手続き

年休の取得を希望する場合は、「少なくとも1週間前に休暇の目的を申し出ないと承認しない」というような例がありますが、取得手続を守らないと年休を与えない、というのは違法です。

原則として、年休の取得は、使用者の承認を必要としません。また、どのように年休を利用しようが労働者の自由です。

したがって、目的を申し出なければ年休を与えないというのも違法です。年休は、原則として、労働者が取得を希望する日を特定して使用者に通告することにより成立します。

半日単位の付与

従業員が年休を取得する単位は、原則として「日」とされています。ただし、半日単位で認めることは、違法ではないとされています。「半日単位」の付与には、次のような方法があります。

      1. 午前と午後
      2. 所定労働時間を2で割る

1のケースが一般的で「午前中病院に寄る」といった場合や「午後から子供の学校で面談がある」といった場合に年休を利用することができます。

2のケースは、午前と午後では時間的な不都合がある場合に、それをなくすために所定労働時間をきっちり半分に分けるというものです。

時間単位の付与

少子化、高齢化等の社会構造の変化等にともない、休暇に対するニーズも多様化しています。たとえば、子どもの保育園の送迎の対応や同居している親の介護の対応などで、1〜2時間程度の休暇が必要となる場合もあります。

このような状況に鑑み、平成22年の労働基準法の改正では、従業員の仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるよう、労使協定の締結を条件に、年次有給休暇を「時間」単位で取得できるようになりました(労働基準法39条4項)。

年次有給休暇の日に支払うべき賃金

年次有給休暇の日について支払うべき賃金については、次の3つの方法があります。

      1. 平均賃金(3か月間に支払われた賃金の総額を3か月間の総日数で除したもの)
      2. 通常の賃金(所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金)
      3. 標準報酬日額(社会保険料の計算や給付の基礎になる標準報酬月額の30分の1)に相当する金額

上の3つのうちどれを選択するかは自由ですが、その都度選択するというわけにはいかないので、具体的には就業規則で定めておく必要があります。ただし、3による場合は、労使協定が必要です。

年休の計画的付与

年休は、労働者の請求する時季に与えなければなりませんが、労使協定による計画的付与が認められています。この制度を利用することにより、使用者が計画的に年休となる日を指定して、事前に「年休予定表」を作成し、指定された日を「年次有給休暇の日」と定めることも可能です(労働基準法6項)。

これは、年休の付与日数のうち5日は、個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければなりません。例えば、年休の付与日数が10日の従業員に対しては5日、20日の従業員に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができます。

年次有給休暇の計画的付与には3方式あり、各々の方式にはそれぞれ労使協定において定めなければならない事項が決まっています。

年休の計画的付与の方式 労使協定において定められるべき事項
事業場全体の休業による一斉付与方式 具体的な年次有給休暇の付与日
班別の交替制付与方式 班別の具体的な年次有給休暇の付与日
年休付与計画表による個人別付与方式 計画表を作成する時期、手続等

夏季の会社休日(お盆休み)に年次有給休暇を計画的に付与し、大型連休としている例

曜日 日 月 火 水 木 金 土
日 14 15 16 17 18 19 20
スケジュール 休日    夏期休暇  夏期休暇  夏期休暇  計画的付与 計画的付与 休日   

※この方法は、事業場全体の休業による一斉付与方式や班別の交替制付与方式に多く活用されています。

年休の買上げ

年休は、休暇を取ることによって労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることを目的としています。したがって、休暇を与える代わりに金銭を給付することは本来の目的を果たすことになりません。

労働基準法は、「休暇を与えなければならない」(労働基準法39条1項)と使用者に義務づけているので、年休を買上げることは違法となります。ただし、労働者の退職や解雇に際し、年休の残日数分を買上げることは、好ましいことではないものの労基法違反ではないとされています。

年休の時季変更権

労働者が年休の時季指定をした場合、その年休取得により事業の正常な運営が妨げられるときには、使用者は年休取得を拒否する権利(時季変更権)があります。

この時季変更権を行使するための要件は、労働者の指定した時季の年休取得が「事業の正常な運営を妨げる」ことですが、人手不足の事業場で働く労働者は年休がとれなくなるため、「日常的に業務が忙しい」「慢性的に人手が足りない」という理由では、時季変更権の要件は充たされないと考えられています。使用者にとっては、この点に留意が必要です。

年次有給休暇の時季指定義務

2019年4月から、労働基準法が改正され、全ての企業において年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち、年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要になります。但し、既に5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要です。

つまり、10日以上有給を付与される労働者について、5日間取得させる義務がある、ということになります。今後は、計画的に労働者に呼びかけ、有給取得を促進していく必要があります。

法律で定められたその他の休暇・休業

法律で労働者に付与することが義務づけられている休暇は、年次有給休暇のほかには、産前産後休暇、生理休暇、公民権行使の保障、妊産婦の受診、育児休業、育児時間、介護休業、子の看護休暇、介護休暇 等があります。

原則として、使用者は、従業員からこれらの休暇の請求を受けた場合には、それを拒むことはできませんが、有給にする義務はありません。

当該コンテンツは、「キリン社会保険労務士事務所」の分析・調査に基づき作成されております。

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