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福利厚生制度とは
福利厚生といえば、企業の各種制度の中では補完的に考えられていましたが、個人の価値感の多様化により、その果たす役割が大きくなっています。福利厚生制度の充実は、従業員の定着化や勤務意欲の向上を図ったり、自社に対する帰属意識を高めるために役立ち、対外的には会社のイメージアップにつながり、優秀な人材の確保に貢献することになります。
福利厚生制度は一般的に法定福利と法定外福利の2つに大別されます。法定福利とは広く社会保障と呼ばれるものが対象で、具体的には、労働保険(労災保険及び雇用保険)と社会保険(健康保険及び厚生年金保険等)があります。
一方、法定外福利とは、経営者が任意に運営する福利厚生施策をいいます。どのような法定外福利制度を設計するかは、経営者が自由に決められます。ただし、福利厚生費は、固定費であるため、あれもこれもと導入すると経費がかかり過ぎて長続きしません。まず、経営者が人材をどのように育てたいのかという方針を明確に持った上で、必要なものから導入していくという方法が賢明でしょう。
法定福利
労災保険
労災保険は、従業員が業務上又は通勤途上の事故や災害により病気やケガをしたとき、または障害が残ったり死亡した時に給付を行うもので、本人及び遺族の生活を保障する制度です。労災保険は従業員を1人でも雇用している場合は、原則としてすべて強制加入です。
なお保険料は各人の賃金総額に次の割合の保険料をかけて算出されます。
雇用保険
雇用保険は労働者が職を失ったときに本人と家族の生活の安定を図るだけでなく、再就職を促進するなど、雇用に関する制度です。
保険料は各人の賃金総額に次の割合の保険料率をかけて算出されます。
健康保険
健康保険は業務外で本人やその家族が病気、ケガ、出産又は死亡の場合に医療や現金が給付される制度です。
保険料は被保険者の給与(標準報酬月額)に一定の保険料率をかけて算出し、会社と本人が2分の1ずつ負担をします。
厚生年金
厚生年金とは、老後にもらう年金(老齢年金)と障害になったときにもらう年金(障害年金)、死亡したときに遺族がもらう年金(遺族年金)の3つの種類があります。
保険料は被保険者の給与(標準報酬月額)に一定の保険料率をかけて算出し、会社と本人が2分の1ずつ負担をします。
法定外福利
法定外福利は会社独自の福利厚生施策で、従来からの伝統や社員のニーズに基づき制度化されています。一般的には経営者と従業員双方が負担し合うもの、経営者のみが負担するものがあります。企業側が負担したものは福利厚生費として税務上は損金処理となります。
一般的な福利厚生制度としては次に挙げるものがあります。
健康のため
- 定期健康診断
- 成人病検診(人間ドック)
- カウンセリングの実施
- リフレッシュ休暇 など
暮らしの応援として
- 家賃補助
- 持家援助(住宅資金貸付)
- 社宅・独身寮
- 財形貯蓄制度
- 社内預金制度
- 保険料補助制度 など
キャリアアップのために
- 資格取得資金の援助 など
万一の事態に備えて
- 慶弔見舞金
- 私的保険(グループ保険)への加入 など
余暇の充実のために
- 諸行事の開催・・・ソフトボール大会、社内旅行、各クラブの補助
- 保養所などとの契約 など
その他
- 制服貸与
- 表彰制度
- 農産物提供 など
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