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制度の目的
外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、開発途上国等の青壮年労働者を日本の産業界に「技能実習生」として受け入れ、一定期間在留する間に実習実施機関において技術・技能、知識を実践的かつ実務的に習熟させる機会を提供することで、諸外国等への技術・技能の移転と経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする制度です。
外国人の研修・技能実習制度は、平成2年より研修制度が、平成5年より技能実習制度が創設されましたが、農業分野においては、平成12年4月より外国人研修生の技能実習への移行が可能となりました。
平成22年7月から新制度へ
現在、日本の産業の様々な分野で外国人が活躍していますが、就労できる在留資格は、原則として専門的な知識や経験が必要な分野に限られています。したがって、それ以外の分野の多くで、外国人研修・技能実習制度の目的に反し、研修生や技能実習生を労働力として活用していたという実態がありました。
農業分野においても、労働力の高齢化が進み雇用労働力の確保が難しい地域等では、研修生や技能実習生が労働力として期待され、また、活用されてきたという実態があります。
そのような状況のなか、海外から来た研修・技能実習生を、安い賃金で酷使する制度本来の目的からかけ離れた一部事業所の行為が問題として顕在化されました。農業の現場においても、農繁期に不正に超過研修や休日研修が行われる例があることや、研修の実施体制や研修・技能実習生の管理が不十分な受入れ機関があること等の課題も指摘されていました。
これらの現状を踏まえ、「研修・技能実習制度」が改正されました。平成21年7月に「入管法」(出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律)が公布され、平成22年7月1日から、現行の技能実習制度が始まりました。
低賃金での労働が行われていた背景には、研修生の立場が不明確だったことがあげられます。来日して1年間は研修生、2〜3年目から技能実習生という旧制度では、労働関係法令が適用されるのは、技能実習生の時のみであったため、研修生が低賃金で長時間働かされるという問題につながっていました。改正後の新制度では1年目より技能実習生となり、労働関係法令で守られることになりました。
農業の新規受入数と技能実習2号移行に関する数値(「農村と都市をむすぶ」2014年2月号より)
平成12年度 | 平成20年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | |
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1,988 | 8,593 | 9,373 | 8,153 | 9,814 | |
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202 | 5,005 | 6,089 | 6,236 | 6,005 | 7,062 |
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247 | 4,981 | 6,144 | 6,092 | 6,329 | 6,888 |
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247 | 4,600 | 5,273 | 5,891 | 5,022 | 6,141 |
上表は、八山政治氏(全国農業会議所)作成
※1)農水省のアンケート調査から(平成24年度は作成時不明)
※2)全国農業会議所の実施する技能評価試験の受験者数
※3)JITCO公表数字
※4)法務省発表数字
技能実習制度の概要
技能実習生の入国要件 |
次の①から⑦のいずれにも該当する者
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監理団体 | 農業協同組合、商工会議所、商工会、社団法人、財団法人、事業協同組合 等 | ||||||||||
実習実施機関(受入れ農家)の受入れ人数枠 |
(1)監理団体が商工会議所、商工会、中小企業団体の場合
ただし、実習生数が常勤従業員数を超えることはできない (2)監理団体が職業訓練法人、農業技術協力を目的としない公益法人の場合 (3)監理団体が農業協同組合、農業技術協力を目的とする公益法人の場合
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実習研修期間 | 技能実習1号は1年以内、技能実習2号は最長2年以内 | ||||||||||
受入れ農家の負担 | 賃金と監理団体への管理費 | ||||||||||
職種(技能実習2号対象職種・作業) |
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送り出し機関(外国側) | 政府公認の団体・会社、地方行政府の機関 | ||||||||||
出身国 | 中国、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、ラオス、カンボジア 等 |
技能実習制度関係法令等
技能実習制度の主たる関係法令等は、以下のようなものがあります。制度を活用される方は、制度を正しく理解し、法令等の基準や要件に合致した技能実習の実施を励行しなければなりません。
労働者
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