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経営者であるあなたが、たとえば創業者であれば、今の事業を始めるにあたってきっと夢があったはずです。
ある経営者は「自分の作った野菜で日本の食に革命を起こしたい」という壮大な夢であったかもしれませんし、またある経営者は「成功して金持ちになりたい」という、より現実的な夢であったかもしれません。あなたが創業者ではないとしても、父親から経営を譲り受けた当時は、やはりきっと夢があったことでしょう。
現在のあなたの夢は何でしょうか。
会社経営とは夢を追い求めるもの
「夢のない人生を送っている人は意外に多い」というと経営者であるあなたは驚くかもしれません。そういう人は、きっと自分と同じように「人は誰もが夢を持っているものだ」と思っているのでしょう。でも実際のところ、日々の生活をまるで「あてもない長い旅をしている」ように過ごしている人は意外と多いものです。
夢のある人生を送ることができるのは、ある意味で経営者の特権といえるのです。これは、言い方を変えると「夢を持たない者は経営者ではない」ということになります。なぜなら、会社を経営するということは「夢の実現に向かって行動する」ということだからです。
経営理念が夢を支えている
夢は、ただ頭の中にぼんやりと思い浮かべていても実現しません。経営者が会社の経営を通して叶えたい夢であればその実現のために行動を起こさなければなりません。そして、実際に行動を起こすために、これから行うことを決意書にして書き表さなければなりません。そしてこれこそが会社経営における経営理念なのです。
会社であれば社長のほかに従業員がいるのが普通です。経営者が会社経営を通して叶えたい夢は従業員の協力が当然必要となりますが、もし夢の実現を支える経営理念を経営者が自分一人の胸にしまい込んでいたらどうでしょう。経営者の夢の実現がおぼつかないことはいうまでもありません。
経営理念のない会社
経営理念を作成していない会社は、農業に限らず一般企業においても意外と多いものです。これは人にたとえると「夢を持っていない人」もしくは「夢は持っているけど行動を起こさない人」です。実際のところ、経営理念がなくても利益を出して社会貢献をしている立派な会社もたくさん存在していることは事実です。
でもこれは「これといった夢を持っているわけではないけれど社会人として立派に生活している人」が大勢いるのと同じことです。夢を持たない人が「人生を目的地も持たずさまよい歩く旅人」であれば、経営理念のない会社もまた「目的を持たずにさまよう旅人」といえるのではないでしょうか。
経営理念のないところに目標はない
経営者と従業員が一丸となって社業に取り組まなくては、会社の成長がおぼつかないことは言うまでもありません。それでは経営者と従業員が「一丸となる」ということはどういうことでしょうか。具体的にイメージしやすいのは、年間売上目標の達成に向けて経営者と従業員が一体となって汗水たらして努力する姿でしょうか。それでは年間売上目標とはいったい何でしょうか。
年間売上目標が会社の夢でないことは確かです。年間売上目標とは、本来、会社の夢=経営理念を実現するために、一年間という期限を定めて設定された目標に過ぎないはずです。経営理念があるからこそ、その実現のためにすべき一年間の目標を設定することができるのです。本来、経営理念のない会社に年間売上目標など存在しえないのです。
人はパンのみで生きられない
自分の仕事が社会的に価値のないものであって欲しいと望んでいる人はいません。口には出さなくても、人は誰でも社会に貢献したいと望んでいるのです。会社の中にいると、人は「自分は組織の中の歯車のひとつに過ぎない」という無力感を味わうときがあります。高度に分業化された現代社会では、自分が社会貢献しているという実感が湧かないものなのです。
社長は従業員に夢を語れ
あなたの会社の従業員は、いつも明るい顔で仕事をしていますか。あなたの会社の従業員は、胸を張って自分の会社を誰かに紹介することができるでしょうか。経営者が常日頃から従業員に夢を語り、その経営者と経営理念を共有している従業員は、自分の仕事に誇りをもち、生きがいを感じて楽しく仕事をしているはずです。
小さな会社ほど経営理念が必要
あなたの会社が小さくて名もない会社で、優秀な人材を求めているのであれば、なおのこと経営理念は必要です。有名な大企業であれば黙っていても優秀な人材が集まりますが、無名の弱小企業であれば人材募集すらままなりません。優秀な人材を求めない会社はありませんが、また優秀な人材もできるだけ良い会社に入りたいと思っています。
「会社をこうしたい」という経営理念のない会社に哲学を感じることはできません。哲学のない人間が魅力的でないのと同様に、経営理念のない会社に魅力を感じることはありません。
経営理念の内容
経営理念は、会社の目的は何か、経営者自身が何のために経営しているのかを明確にするものです。経営理念が明確に打ち出されている会社は、行動指針や中期計画、経営戦略等がはっきりしており年度方針から日々の活動まで徹底しているものです。
経営理念は、会社の憲法とも言われる非常に重要なものですので、作成にあたっては、他社の経営理念をそっくり真似たり、他人に作ってもらうということのないよう経営者自身が自分の言葉で表現することが望ましいでしょう。
経営理念を共有するために大事なことは労使間のコミュニケーション
経営理念は、ただ作っただけでまったく省みることがなければ何の意味も持ちません。かといって、経営理念は、それを従業員が仕事中に見える場所にただ掲げておけば良いというものでもありません。あるいは、経営理念は、毎朝朝礼のとき皆で声を張り上げて唱えていれば良いというものでもありません。もちろん職場に掲げることは大切なことですし、毎朝の朝礼時に唱えるのも決して意味のないことではありません。
経営理念は、経営者と従業員が共有されることによって初めて意味をもちます。経営理念を共有するということは、経営者の夢を従業員が共有するということです。そのために必要なのは、経営者と従業員との間のコミュニケーションです。経営者であるあなたが経営理念について、従業員一人ひとりに熱く語りかけることが大切なのです。
あなたの志である「社会への貢献」をどのような戦略をもって成そうと考えているのか従業員一人ひとりと膝を交えて率直に話し合うことが重要なのです。経営者と従業員が日々のコミュニケーションを積み重ねることによって、経営者の夢が従業員の夢となるのです。
従業員にあなたの夢を語ろう。従業員と経営理念を共有しよう。
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