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(熊本県『天草農工房ふぁお』筒井洋充)
はじめまして。筒井洋充と申します。熊本の天草でデコポンのブランド名で知られる柑橘を栽培しています。
農業にとって気候とインフラ環境は、作物の出来を決める重要な要素と言って過言ではありません。私が経験した小豆島と天草から、農業と外部環境の関係を考えてみます。
農業用水の整備に見る気候の違い
小豆島と天草とでは、水の入手のしやすさが違います。小豆島は田んぼも畑も農業用水が整備されていて、蛇口をひねれば水が出る環境にありました。一方、天草では池や川から自分で水を引かなくてはなりません。
整備状況が違うのは、気候の違いではないかと思います。瀬戸内エリアは昔から、日本では少雨の地域です。ため池があるくらいなので、夏は渇水で困ったこともあるのでしょう。農業用水が整備されたのは必要から生まれたと考えられます。
一方、九州はもともと雨量の多い地域です。ただ近年は温暖化の影響からか、干ばつ傾向が強くなっています。年間の降水量は大きく変わらなくても、降るときと降らないときの差が激しいように感じます。天草は果樹が多く、水を多く必要とする野菜を育てる農家が少ないことも、農業用水が整備されていない理由かもしれません。
