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(熊本県『天草農工房ふぁお』筒井洋充)
はじめまして。筒井洋充と申します。熊本の天草でデコポンのブランド名で知られる柑橘を栽培しています。
今回は「思っていたのと違った」ことをお話ししていきます。実際に行動してわかったこと、といった方が正しいかもしれません。
なぜ日本の農業は生産性が低いのか
小豆島に行ってすぐ、農業は思っていた以上に収益性が悪いと感じました。オリーブは他の産品に比べると、高単価であることはたしかです。しかし、そのままでは食べられないので油を絞ったり、漬物にしたりと加工が必要です。
加工にはそのための施設がいります。施設の建設には最低でも数百万円の投資が欠かせません。オリーブの産地として有名なイタリアやスペインの農家が投資しても収益を確保できるのは、大規模だからでしょう。日本は1つずつ手摘みですが、地中海のオリーブ農園は収穫も機械で一気に行います。
手摘みは効率が悪いだけではありません。オリーブ油にとっては実の鮮度が大事です。機械化は生産性を向上させるだけでなく、品質管理にとってもプラスなのです。
一方、国土の7割が山林の日本。大規模化は難しく、機械化し採算をとるのはかなり難しいでしょう。実際、小豆島でもオリーブの栽培だけでうまくいっている事業者はありません。小豆島産のオリーブは少量なので、海外に契約農園を持ち、化粧品や観光と組み合わせたりしています。オリーブをシンボル化するのが小豆島のやり方なのです。
なぜ「作って売るだけ」の農業は難しいのか
「そのまま食べられるもの」でも、一次産品の場合、作って売るだけでは厳しいと私は考えています。
