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(石川県『菜園生活 風来』西田栄喜)
はじめまして 私は石川県能美市で自称日本一小さい農家をしております菜園生活 風来(ふうらい)の店主 の西田栄喜(通称 源さん)と申します 。
起農したのはいいものの売るものがなくモヤモヤしていた期間。当時は焦りもありましたが、その時に思考を深められたのはよかったと思います。
「小規模多様化農業」という発想
農地も小さく、技術も機械もない。そんな自分にできること。当時はここまで言語化はできてませんでしたが、決めたのはこの3点。
1 農業の「固定観念」を捨てる
2 しっかり「稼ぐ」ことを考える
3 農業は目的でなく「手段」
当時(2000年ごろ)は農業政策として規模拡大単作効率化がすすめられていましたが、広大な農地があり、しっかりした栽培技術のある既存の農家でも大変と言われている農業界。ゼロから始めて同じやり方をしても、食べていくことはとうていできないと思いました。そこで考えたのが「小規模多様化農業」という真逆の発想。それは「風来」(ふうらい)という屋号にも繋がっています。
固定観念を捨てる
固定観念を捨てる。一般的にゼロから起農しようと思ったら1,000万円以上かかると言われていましたが、本当に必要なものは何だろうかと考えました。ホテルの支配人時代に得た経営の目から見ると農業は固定資産の塊に見えたからです。
農業機械の場合、田畑で活躍している時間より納屋で寝ている時間が圧倒的に多い。せっかくゼロから始めるのなら所有を少なくし、いかにムダをなくせるか、最初は身の丈サイズで始めて、必要なら少しずつ揃えていこうと考えました。
補助金活用への疑問
そして農業を始める時にみな当たり前に活用していた補助金にも疑問を持ちました。当時は新規就農者支援金など充実していましたが、もらえるものはもらったほうが得とスタートしたはいいものの、その補助がなくなった瞬間に農家をリタイアする人が何人もいると研修時代に知りました。そこで思ったのが安易に補助金に頼ると甘えを誘発するのではということ。
そこには石川県先輩農家の独立独歩の気風もありました。そんな先輩方が口々に言っていたのが「補助金の原資は税金であることを認識し、もらうなら将来税金で返すぐらいの気概を持て」です。
