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(熊本県『天草農工房ふぁお』筒井洋充)
はじめまして。筒井洋充と申します。熊本の天草でデコポンのブランド名で知られる柑橘を栽培しています。
コロナ禍の一時期、都市部を離れる人が増えているというニュースが話題になりました。都市生活のデメリットがクローズアップされたので、地方が注目されたのでしょう。一方、都市部に比べて人の流動が少ない地方のしがらみがどのくらいキツイのか知りたい。そんな声も聞こえてきそうです。マイナスイメージの強い「しがらみ」ですが、決して悪いことばかりではありません。
”デコポン”はJA経由でしか売れない
私はJA(農業協同組合)の組合員です。なにかと目の敵にされることの多いJAですが、私はわざわざケンカする必要もないと考えています。
1つは「デコポン」との深い関係です。ぽっこりとしたこぶが特徴のデコポン。甘みが強く、手で皮をむけるので、温州みかんのような感覚で食べられるみかんとして人気です。しかし、デコポンが登録商標(ブランド名)であることはあまり知られていません。
デコポンはもともと熊本生まれの不知火というみかんから生まれました。デコポンというブランドが生まれたのは、不知火が味のばらつきが大きい品種だったからです。光センサーで糖度13度以上、酸度1.0以下の基準をクリアし、JA熊本果実連などの農協を通じて出荷したものだけがデコポンと名乗ることができます。
つまり、生産者個人での販売や、農協を経由しない販売にデコポンの名前は使えないのですね。もちろん販売に自信がある方はJAを通さず、不知火として売る方法もあるでしょう。私は複数の販路を持っておくことが大切だと思っていますのでJAにも出荷しますし、オンラインショップでも販売しています。それに加えて、光センサーなら糖度や酸度が数字でわかりますから、今年の出来はどうなのか、客観的なデータでわかることもJA組合員ならではのメリットだと感じています。
