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(熊本県『天草農工房ふぁお』筒井洋充)
はじめまして。筒井洋充と申します。熊本の天草でデコポンのブランド名で知られる柑橘を栽培しています。
話しても、わかり合えない......どうする?
同じ移住者でも地域に祖父母などの親戚がいるUターン者と、Iターン者とでは地域の温度感が違います。
たとえばうちの子が通っていた保育園では、敬老の日に園児が出し物をしたことがありました。発表した園児はそこで集落の名前と祖父母の名前を言う決まりになっていました。「〇〇さんの孫」という共通の話題で盛り上がっていたのですね。また、同じ名字が多い田舎では、昔から住んでいる人は下の名前で呼び合うことが多いのですが、私を含めて我が家の人間は何年経っても「苗字にさん付け」で呼ばれています。
首都圏を離れたばかりの頃は、私も積極的に地域の行事に参加してきました。これから地域を考える会のようなものにも出席し、実際に手を動かして「こうしたらよいのでは?」という提案もしてきました。しかしローカルであればあるほど「素性の知れた人かどうか」が重視されますから、他の地域から来た人は何年住んでも移住者なのです。嫌がらせを受けたわけではありませんが、線を引かれている感じはしますよね
そのうち、こちらも無理して合わせる必要はないと考えるようになりました。もちろんうまく入り込める人もいると思います。ただ、地方に住むなら、いろんな人の寄せ集まりである首都圏と地方とは違うことを認識していた方がいいかもしれません。ローカルであればあるほど他の地域で暮らした経験がない人も多く、こちらが思っている以上に、地縁血縁意識が強いからです。
わざわざ波風を立てる必要はありませんし、ゴミ当番や草刈りなど日常生活に直結する活動には関わるべきだと思います。しかし宗教的な行事など主義主張が異なるものへの参加は見送るなど、無理のない範囲で「ほどほどに付き合う」くらいでいた方が、うまくやっていける。そんなふうに最近は考えています。
