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(茨城県 『マーフィーズファーム』 篠塚政嗣)instagram
初めて出荷したリーフレタス
前回、初めての青果市場への出荷をしたところまで書きました。そして、どうなったか。どのくらいの値が付いたのか、というと、なんと僕の初めてのリーフレタスはなかなか良い値段を付けてもらう事が出来たのです。
当時、色々と栽培などのアドバイスをもらっていた周りのベテラン農家さんからは「運がいいなぁ」「タイミングが良かったな」とお褒め(?)の言葉もいただきました。僕にとって初めてのリーフレタス栽培、当時存命だった祖父からも色々教えてもらいながら、なんとか市場の出荷基準を満たせるリーフレタスを収穫し、出荷する事が出来たのですが、実はその出荷のタイミングは他の農家さんよりも1ヶ月ほど遅れていました。
そしてこの年はたまたまその時期が端境期になっていて、他にリーフレタスを出荷している農家さんがほとんどいなかったのです。こういうビギナーズラックというのは、本当に不思議ですねぇ。もちろん、市場が求める出荷基準(規格)を満たせるリーフレタスを育てる事が出来たのも大きかったと思います。運もあったし、技術もなんとか満たせていたのが良かった。
就農する際に大事な「栽培品目」。高収入を得られる品目が栽培できればそれが一番良いけれど…
就農する際、大事なことの一つに「栽培品目」があります。高収入を得られる野菜を栽培出来ればそれが一番いいのかも知れませんが、当然それは技術の高い農家さんがひしめき合っている世界です。その中でいかにして自分の野菜を評価してもらえるか、評価してもらえる品質にちゃんと到達出来るのか、など考えなければいけないことはたくさんあります。
例えば、ビニールハウスを建てて、高収益化を狙ってイチゴを栽培しよう、もしくはトマトを栽培しようと考えたとします。青写真を描くのは簡単ですが、実際のその現場や生産農家さんの技術など、表面上では見えてこない、気付かない部分にこそ、その作物が評価される秘密が隠されていたりします。そしてそれは簡単に教えてもらえるようなものではありません。秘伝なのです。
僕が最初にリーフレタスを選んだのは、祖父がリーフレタスを出荷していたから。実はただそれだけです。周りの農家さんのアドバイスでも「リーフレタスはそんなに難しくない、やってみたらいい」とも言われました。あまり戦略的とは言えないかも知れませんが、僕は1月に就農したというタイミングもあって、すぐに手をつけられ、さらに「そんなに難しくない」と言われたリーフレタスを最初の栽培品目に選びました。分からない事は祖父や叔父に聞く事が出来ましたし。
そういう栽培品目の選び方もアリだと思います。
圃場の広さ、環境や設備、知識、人手、地域柄(特産)などで決めるのは重要
就農する際に準備できた圃場の広さとその環境、設備、知識、人手、地域柄(特産)などで、何を栽培するかを決めるのは重要です。
「どうしてもこれを作りたい!」という思いが先にあって農家になりたいと考える人もいると思います。それを否定はしませんが、思いだけで栽培品目を決める時には、実際にはその圃場環境がその作物に適していない、その作物がその地域の需要に合致していないなど、乗り越えるべき壁が思っていた以上に高い事がままあるんです。
僕自身、絶対に越えられない壁はないと思っている人間ではありますが、思いだけで栽培品目を決めるのは本当に覚悟が必要だと思います。初年度、リーフレタスがそれなりの価格がついた事で、「農業って思っているよりも大変ではないのかも知れない」と感じたんですが、それが、本当にただ運が良かっただけ、というのは2年目以降に思い知ることになります。
