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(熊本県『天草農工房ふぁお』筒井洋充)
はじめまして。筒井洋充と申します。熊本の天草でデコポンのブランド名で知られる柑橘を栽培しています。
『農業のリスクはコントロールできる?10年で学んだ自然との向き合い方』では、農業の安全と農作物の品質をコントロールするために私がやっていることを紹介しました。残念ながら、気候変動に対してできることは少ないかもしれません。それでも農家が生き残るには、何ができるのかを考えてみたいと思います。
「コントロールの余地を増やす」はリスクヘッジ
農業は自然を活用し、新たな生命を生み出す営みです。ですから、農業は自然と共にあると言っても過言ではありません。しかし、ビジネスとして考えるなら自然の影響を最小化し、収量と品質の安定化をはかっていくことが必要です。
そこでビニールハウスなどの簡易的な施設での栽培です。人工的に外気をシャットアウトし、雨の侵入を防ぐことで室内の温度や水分量をある程度コントロールできるようになります。丈夫な素材で施設を作れば、鳥獣害被害からも守れるようになります。
何度かお伝えしているように、自然の気候条件のもとで栽培する露地栽培だけで就農計画を満たすのは、一般的には難しいでしょう。トマトやきゅうり、スナップえんどうなど、すでに多くの野菜が施設栽培になっており、柑橘農家である私も一部は施設栽培です。
しかし気候変動の影響で気温が上昇し続けると、簡易的な施設での栽培は難しくなっていくかもしれません。そこで有望視されているのが工場での栽培です。工場なら空調や水分量を細かく調整できますし、土を使わないので病害虫も抑えられるのではないでしょうか。
ただ工場のほとんどは水耕栽培で、作れる品種が限られていること、施設の建設・維持に莫大な費用がかかるので、小さくはじめたい人にとっては工夫が必要になると考えられます。
