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(石川県『菜園生活 風来』西田栄喜)
志を学ぶ「青年塾」に入って本当に良かったのは 全国いろんなところに行けたことです。
後に至って気づいた財産
新規就農相談を受けた時も就農する前にいろんなところに行き、学んだり縁を繋いでおいた方がいいとアドバイスしています。
離農防止に。ご縁が大事
実際に農業をはじめると水遣りや畑の管理の関係で時間的余裕がなくなってしまい学ぶ機会が少なくなります。その結果、作付けに失敗、また販売がうまくいかなかった時などに相談する相手がおらず、孤独感にさいなまれ離農してしまう。そんなパターンも少なくありません。
半強制的にもたらされた外に出る機会が気づかせてくれたこと
かく言う私も独立就農してからは時間、そして金銭的余裕がないと思い外に出ることはありませんでした。それが入塾したことで半強制的に県外にでることに。そして青年塾の場合は、単なる観光ではなくその地域やその会社の方から直接話を伺うことで学びと刺激になりました。実際に行動して分かったのは時間や金銭的余裕がなかったのではなく「ないと思い込んでいたんだ」ということでした。
利益の追及と利益最優先は同じではない
そして青年塾で学んだのは「自分の利益だけを考えていたら必ず行き詰る」ということです。資本主義社会の現代において利益を追求するのは当たり前のこと。ただ 利益を最優先にすると、とにかく原材料を安くして利幅を大きくしようとなり、根底の想いがなくなってきます。それを突き詰めると経済効率の悪い農業はやらない方がいいになってしまいます。
社会的課題の先にこそ眠っている機会
青年塾での学びにはその続きがあり、それは「社会全体のことを考えたら仕事はいくらでもアイディアが出てくる。」でした。 そしてそんな実践者に沢山出会わせてもらいました。 そのひとつが風来と同じ石川県にある会宝産業です。会宝産業株式会社は使用済み自動車を適切に分別処理し、部品のリユース、資源のリサイクルを積極的に進めている会社になります。
2024年には「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞受賞されています。
創始者である近藤会長に直接お話しを伺ったのですが、感銘を受けるものばかりでした。以前、自動車の解体屋業と言われていたものをリサイクル業に変貌させることで環境負荷の低減にもなり地球規模における資源循環型社会の一翼を担えるよう、捨てるではなく活用する。そのあらわれとしての社名にもなっています。
会宝産業会長の理念
近藤会長は自分たちのことを静脈産業と呼んでいます。人間の体は、動脈と静脈が循環することにより健康な体が作られている。動脈産業というのは要するにメーカー側になります。これまでの資本主義経済の中で、新しいものをたくさん作ってきたと。ところが、その要らなくなったものをどうするかと構築されなかったために、いろんな気象環境を起こしてきた。人間の体でいえば病気みたいなもの。動脈と静脈がきれいに循環することで地球環境が良くなり、社会ももっと豊かになっていくんじゃないか。そうおっしゃってとても納得感がありました。
近藤会長が収益性だけでなく社会性のところまでの視点を持ったのはお孫さんがキッカケなようです。このかわいい孫たちが大人になった時に、我々のような豊かな生活が、この子もできるだろうかと。自分たちは高度経済成長下の中で豊かな生活を謳歌して、その分自然に付加をかけてきた。その後始末をしなきゃいけないと強く思ったそうです。
この地球上には現在11億台くらい自動車が走っているそうなんですが、それらが捨てられるのではなくリサイクルされることは確かに環境に与える影響は大きいのではないかと思います。会宝産業では現在73ヵ国にエンジンや部品などを輸出しているのですが、その輸出先にもリサイクルのノウハウを広めているとのことでした。
志ある会社に共通するもの
志ある会社の共通点としてあるのですが、社内がとてもきれいで整理整頓されていて、また社員ひとりひとりの挨拶がとても素敵でした。近藤会長は「社員が生涯働ける会社」もミッションに掲げています。社員の誕生日にはケーキを皆の前で贈ることを10年以上続けていて、それと同時に、花も贈っているそうです。男性社員でしたら奥様に、独身の方でしたらお母さんに渡すようにとのこと。
また生涯働ける会社という観点で、以前書いた伊那食品工業さんと同じく農業にも関与しています。ユニークなのは車を解体した時に出てくる廃油を利用してビニールハウスの暖房につかい無農薬でミニトマトを育てているところです。北陸では珍しく年中出荷されるミニトマトは人気商品となっています。定年を迎えた社員には再就職先としてそんな農業の道も用意されているとのことでした。
志ある会社は農業に目が向いているということに興味深く思いました。
経済合理性に拠らない100年以上続く企業
そして同じ県内であってももし青年塾に入ってなければ存在を知らないままだったと思うと視点を増やすことはとても大切だと実感することもできた機会でした。命の源である食を育てている農業はそれだけで志高い産業。青年塾に行くことで農家として誇りを持てました。そんな農に深く関わっている志高い会社にもいくつか学びに行きました。
そのひとつが京都府宮津市にある飯尾醸造です。「純米富士酢」で有名な飯尾醸造は明治26年(1893)開業、今も昔ながらの製法で酢を造り続けていて、日本一の酢と言われています。
