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(熊本県『天草農工房ふぁお』筒井洋充)
「地方に移住して何が変わりましたか?」と聞かれたら、私は「“地域”と自分の暮らしのつながりを感じるようになった」と答えます。会社員時代は航空会社にいましたので、これまでも地域交通の文脈で、地域について考えることはありました。しかし、ここでいう地域とはもっとリアルな話です。
人が減るとはどういうことか
「今の時代はインターネットがあれば、どこでも生きていける」たまにそんな意見を目にすることがありますが、それは半分合っていて、半分間違っていると私は思います。たしかにインターネット以前と比べたら、自由度は上がりました。情報格差は縮まり、地方にいながら仕事もできるようになったのはテクノロジーのおかげで、テクノロジーは私たちに自由を与えてくれたと言ってよいでしょう。ただそれは、ある程度の数の人が住んでいることが前提です。
地域に人がいることと、自分の暮らしはつながっている。そう私は実感するようになりました。地域に人がいなくなると人手不足倒産が起きます。会社がなくなると、そこで働いていた人がいなくなりますね。するとスーパー、公共交通、学校、病院の経営といった暮らしを支えるサービスも、水道や電気といったライフラインの維持にも影響します。生活が厳しい場所ではさらに人が減り、旅行客を受け入れることも難しくなるというサイクルです。現に数十年後には航路や便数が減ると思っていましたが、私が小豆島を離れて5年足らず航路が一つなくなっています。
