(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。早いもので、もう10月です。今年もあっという間ですね。
年齢を重ねるごとに一年が早く感じるものなのかもしれませんが、「暑い期間が長すぎる」事も一つの原因ではと思っています。
実際に先月末も全国で30℃以上の真夏日が続出し、季節外れの暑さが続いています。朝晩は涼しくなってきましたが、日中はまだ夏のようだと思っている方は私だけではないのではないでしょうか。
いつまで暑さが続くのかは気になりますが、今月は全国的に大雨のおそれもあり、農業への影響がかなり心配な1か月となりそうです。
農家の皆さんに役立つお天気情報を今回も詳しく、わかりやすくお伝えします。農てんき今回もぜひ最後までお付き合い下さい。
10月もまだまだ暑い
気象庁発表の1か月予報(平均気温)を見ていきます。今月も全国的に気温は平年に比べ高い予想です。

日中は猛暑という日はさすがにもうなさそうですが、日差しが強く農作業には堪える暑さがまだまだ続きそうです。10月に入っても昼間は東日本で25℃くらいの夏日、西日本は30℃くらいの真夏日の日はしばらく続くでしょう。
一方で暑さの質は変わってきます。これまでの蒸し暑さではなく、晴れる日は乾燥した空気が入ってきて、カラッとした暑さ、朝晩は涼しく寒暖差は日に日に大きくなっていきそうです。
本格的な大雨シーズン到来か
では、雨はどうでしょうか。1か月予報(降水量)を見ていきます。すると東・西日本が平年並みか多い予想となっています。

正直この予想は、かなり危ないのではと感じています。なぜなら、このタイミングで降水量が多いと言うことは、つまり秋雨前線や台風が主な原因と考えられるからです。
このコラムでは、これまでも台風と秋雨前線が天気図に現れるような日は災害級の大雨のおそれがあるとお伝えしてきました(詳しくはこちら)。
今月はカラッと晴れる日も多いとは思いますが、秋雨前線や台風の動き次第で大雨となる可能性は他の月に比べて高まっていると、意識しておく必要がありそうです。
16日予報
弊社ウェザーマップ独自で発表している16日予想を見てみましょう。今回は福岡を見ていきます。

驚く事に、10月に入ってもやはり30℃程度の真夏の暑さが続きそうです。朝晩はだいぶ涼しくなってくるため、寒暖差が必要な作物によってはようやく生育が進む時期になってくるかなと思います。一方で日中はまだまだ暑く、農作業中の熱中症には気をつける必要がありそうです。
その他の地域をご覧になりたい方はhttps://forecast.weathermap.jp/こちらから確認することができます。
台風の卵の動きに注意
先ほどの福岡の16日予報では、しばらく晴れる日が続く予想となっていました。これだけ見ると天気的には安心してしまいそうですが、油断は禁物です。
今月は全国的におおむね晴れて暑い日が多いものの、急にガラッと天気予報が変わる可能性があるのを忘れてはいけません。それは日本の南に、台風の卵らしきものが出来はじめているからです。

これが台風になるかはまだ分かりませんが、こまめに天気予報はチェックしておきましょう。きのうまで晴れ予報だったのに、いきなり連日大雨予報に変わっているかもしれません。
今冬は急な寒さと大雪
さて今回は、もう少し先の予想も紹介します。実は早くも今年の冬がどうなるか、なんとなく分かってきました。しかも今年は急に寒さがやってきて、大雪のおそれがあると予想が出ているのです。
こんなに暑いのになぜ?と思いそうですが、実は暑さと寒さのしくみは似ています。こちらの図をご覧下さい。

地球温暖化により、日本の南で冬なのに平年より海面水温が高い状況が続きます。
そこでは雲の動きが活発で、雲から流れる空気が冬の偏西風を蛇行させてしまいます。日本は、平年よりも強い寒気が流れ込みやすい状況となり、急に寒く・大雪となりそうなのです。
つまり地球温暖化は、夏の暑さだけでなく、冬の寒さも「極端」にさせる働きがあるのです。
12月急に寒く
もう少し詳しく、12月の平均気温の予想を見てみましょう。

12月に入ると、東・西日本を中心に平均気温は平年並みか低い予想となっています。11月までは暖かい傾向が続く予想ですが、12月に入ると寒気が流れ込み一気に寒さがやってくる予想です。
今年は秋があっという間に終わり、急にそして一気に寒くなりそうです。
今年はクリスマス寒波か
12月の降水量予想です。北・東日本海側で降水量が平年並み〜多い予想となっています。

おそらく12月後半の気温が本格的に下がるタイミングで大雪となるかもしれません。
一方で、東・西日本の太平洋側は降水量が平年並みか少ない予想です。こちらは晴れて乾燥する日が多くなりそうだという事を示しています。
猛暑でタマネギ小さく
私は、野菜の現状を聞きに定期的に広島の青果市場に取材をしています。今年の猛暑がいかに野菜にダメージを与えているのかが、現場に行くことでわかってきます。こちらは、北海道産のタマネギです。

私の写真の撮り方が悪くすみません。普段のタマネギに比べて小さいのです。そして傷んでいるものもチラホラ見受けられました。
今年7月には北見市で39℃と観測史上最高気温を記録。ちょうど実が太る時期に災害級の暑さが重なり生育がストップしてしまいました。
出荷量も例年に比べ7割程度と少なく、今後価格も日に日に高騰し続ける状況が来年5月くらいまでは続くのではという見通しです。
猛暑を逆手にアピール
広島テレビの「農てんき」というコーナーでは、私が取材した内容をもとに、今が旬の野菜情報を天気と関連づけてお伝えしています。

近年は、異常気象の影響で農業関連のニュースも、どうしても暗い話題になりがちです。農業を少しでも盛り上げる事ができないかという視点から、農家さん達の努力や工夫を紹介したり、天候を逆手に取ってアピールするなどポジティブな要素も伝えるようにしています。
全国の農家さんのお力になれるよう、このお天気コラムも来月も全集中でお届けしていきます。今月も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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