(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農大卒の野菜に詳しい気象予報士、その名も農てんき予報士の寺本卓也です。
さて、ようやく暖かくなってきましたね。春が少しずつ近づいてきています。とはいえ急に雪が降らなくなる訳ではありません。まだ単発で大雪が降る地域もありそうです。そして、太平洋側では乾燥傾向がまだまだ続いています。
今月はいつ恵みの雨が降るのか、寒波の心配はもうないのか、皆さんの知りたい農業に役立つ天気の情報「農てんき予報」をたっぷり、わかりやすくお伝えしていきます。今月もぜひ最後までお付き合い下さい。それでは農てんきスタートです。
春に三日の晴れなし
3月は冬から春への季節の変わり目、これまで日本海側で大雪、太平洋側で晴れるという天気の傾向もようやく変わってきます。
「春に三日の晴れなし」なんて言葉があり、3月は低気圧と高気圧が交互にやってきて、天気が数日のうちにめまぐるしく変わります。低気圧が来る日は、大雨や暴風となる「春の嵐」になりやすく、一方で高気圧に覆われる日は全国的に晴れて乾燥します。
では、今年の3月はどんな天気になるのか、深掘りしていきます。
今月は気温アップダウン大きいか
まずは気温の予想からです。1か月予報(平均気温)を見てみましょう。前半は全国的に平年より高く暖かい傾向ですが、中旬になると東北や北海道で低く、寒の戻りがありそうです。後半にかけては各地とも平年並みの暖かさに落ちついて来る見込みです。

気になるのが寒の戻りです。露地物の春野菜などを中心に雪や霜の被害、旬のイチゴの生育にも影響するおそれがありますね。この気温の下がり方の原因は、南岸低気圧かもしれません。
南岸低気圧で東北大雪か
3月3日〜4日頃に雪雲が本州に直撃する予想が出ています。いわゆる南岸低気圧です。

低気圧の中心が本州の南を沿って北上するような時は、普段雪の少ない東北の太平洋側でも湿った重い雪が降ってドカ雪になる事があります。(詳しくは先月のコラムをぜひご覧ください:https://www.agriweb.jp/column/2621.html)
枝折れ、野菜の生育不良、ハウスの倒壊などのおそれがあります。ただ、この南岸低気圧は予想が大変難しく、雪ではなく雨の可能性もあったり、予想より違う場所で降ったりと直前まで動きが分かりません。ぜひ、最新の気象情報を確認頂けたらと思います。
少雨傾向は解消されないか
続いて、1か月全体の降水量はどうなのでしょうか。どうやら全国的に平年並みの予想です。なんだかこれでは、雨が降るのか降らないのかよく分からないですね。

もう少し詳しく言うと、気象庁は「雨は降るけども、昨年秋からの乾燥状態をすべて解消する程の雨は降らないだろう。」というコメントをしています。広い範囲で乾燥により農作物の生育に影響が出ていますが、まだまだ安心できない状況が続きそうなのです。
雨の降る範囲は限定的か
執筆時点のスーパーコンピュータで見られる限界点まで見てみます。

確かに雨雲はやってきそうですが降る範囲は限定的ですね。度々雨の降る機会はあっても、本州にしっかりかかるかどうか、農作物に十分な水の確保ができるかどうか難しいところです。今後も雨のタイミングは貴重となりそうです。
今年の夏もやっぱり猛暑に
さて、ここからは急に話しが変わります。気象庁より暖候期予報が発表されました。なにそれ?と思われる方が多いかもしれません。
マイナーな情報ですが、これは毎年冬の終わりの2月に夏のおおまかな天気を予想するかなり重要度の高い情報です。今年の夏が暑いのか涼しいのか、雨が降るのか降らないのかと言った感じです。

そして、今年も全国的に「平均気温は高い」を表示しており、猛暑の夏が予想されています。近年、毎年のように各地で猛暑日記録が更新されていますが、今年はどうなりそうか気象台の方に話を聞いてみました。「去年、一昨年ほどではないにしても間違いなく猛烈に暑い日が多くなりそう。」という事です。
梅雨時期は大雨注意
また、梅雨時期の雨がどうなるかも発表しています。全国的に梅雨時期の降水量は平年並みと発表しています。
しかしながら、よく詳細を見ると各地の降水量が少ない・平年並みの確率が30%、多くなる確率が40%となっています。ようするに、「各地とも梅雨時期の大雨の確率の方が少し高いよ。大雨に注意してね。」というメッセージが込められています。

シトシト降る雨ならば畑を潤してくれるため喜ばしい事もありますが、一気に土壌そのものを流亡させてしまうような豪雨・線状降水帯などが近年増加しています。梅雨の大雨・そして猛暑による対策が今年も必要になっていきそうです。
寒波の影響 霜被害
2月8日、日本列島に強い寒気が流れ込み日本海側の各地で大雪となりました。また雪雲は、冬の時期に主要な野菜産地となる九州にも流れ込み、これから売り出す春物商材にダメージを与えています。
広印広島青果の小山さんは、「スナップエンドウ、ソラマメなどの豆類は雪の影響で表面に傷やシミとなる「霜」被害が出て深刻です。味は変わらず美味しいのに、販売が厳しい状況ですね。」と話してくれました。

雪かぶりネギ
冬に旬を迎えるシロネギの主要産地である鳥取も大雪の被害を受けました。雪の重みで葉っぱが折れる被害が多発しています。
しかしながら、こちらも味が悪くなる事はありません。むしろ、雪の寒さで糖分が蓄えられ甘みを増しているとの事です。市場では、「雪かぶりネギ」として力を入れて販売していきたいと話してくれました。

後日、テレビ派の農てんきコーナーでも「スナップエンドウ」、「雪かぶりネギ」を紹介しました。農家さんの被害は深刻ではありますが、「葉っぱが折れている物は甘いネギ、白い斑点は甘いスナップエンドウのサインです。」と小山さんから教わったポジティブな情報を強調しました。

話は少しそれますが、先月は冬季オリンピックが大いに盛り上がりましたね。ルールをよく理解していないミーハーな私も恥ずかしながらテレビで応援していました。選手の厳しい時こそ諦めない強い気持ちや、これまで築き上げてきた絆で逆境をはねのける姿はとても印象的でした。
農家さん、我々消費者もみんなでワンチーム。辛い時にこそ支え合う力をつけていきたいなと思いました。
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