こんにちは。インテージの玉木です。
前回の「食卓メニューから考える 今後の野菜需要」はご覧頂けましたでしょうか。前回は「生野菜・野菜サラダ」の食卓出現率が高まっている事や、年代による「生野菜・野菜サラダ」の材料の違いなどをお伝えさせて頂きましたが、今回はシーズン真只中の「鍋」に注目してみたいと思います。
スーパーにおける「鍋つゆ」の販売実績は?
鍋をする際にとても便利な「鍋つゆ」。インテージが保有しているSRI(全国小売店パネル調査)データでスーパーマーケットにおける「鍋つゆ」の販売状況を追ってみました。
SRIデータを見ますと、2012年〜2014年に掛けて「鍋つゆ」の販売が大幅に増加していたのが確認できます。2014年は「豆乳鍋」や「もつ鍋」の販売が高まり、スーパーマーケットの棚で鍋メニューのバラエティー化が進み、その後2015年、2016年と安定した販売実績を見せているのが「鍋つゆ」市場と言えそうです。
では、2016年時点でどんな種類の「鍋つゆ」がどの程度販売されているのでしょうか?SRIデータでスーパーマーケットにおける「鍋つゆ」の種類別 販売金額構成比を確認してみました。
最も構成比が高いのは「寄せ鍋」、次いで「ちゃんこ鍋」、「豆乳鍋」と続いています。2012年時点では9.9%の構成比しかなかった「豆乳鍋」ですが、2016年時点では12.4%にまで成長し、スーパーマーケットの中では定番の鍋メニューになっていると言えます。
そんな中強さを見せているのは「寄せ鍋」。2012年:20.7% → 2014年:21.5% → 2016年:22.9%と年々構成比を拡大しつつ、この5年間トップの座に君臨し変わらず高い人気を維持していると言えます。
カレー鍋やトマト鍋など、新たな切り口の「鍋つゆ」がメディアや店頭で話題になりますが、やはりスタンダードな「寄せ鍋」に合わせた生鮮の店頭訴求は効果的だと思われます。
「寄せ鍋」に使われる具材。東西の違いは?
鍋と言えば冬。確かにその通りなのですが、東西で季節性は異なるのでしょうか?まずは「寄せ鍋」が食卓に出現する頻度(TI値:1,000食卓たりの出現回数)をキッチンダイアリー(1260世帯の食卓調査)で確認してみました。
京浜エリアは11月〜1月のTI値が京阪神エリアを上回っており、寒い季節には京阪神エリア以上に「寄せ鍋」が食卓に出現している事が分かります。一方で京阪神エリアは季節による変動が京浜エリアより小さく、春や秋なども鍋を楽しむ人が京浜より多くいると言えそうです。
では、「寄せ鍋」に使われる具材はどのように異なっているのでしょうか?引き続き「キッチンダイアリー」から、「寄せ鍋」に使われる具材Top15の材料を確認してみました。
No1はやはり「白菜」。エリア問わず80%以上の確率で「寄せ鍋」に投入されており、鍋と言えば「白菜」というのは東西で差のない事実となっているようです。しかしながら「白菜」以下の使用材料では東西で結構な差が出ている事が分かります。
まず京浜エリアでは「白菜」に次いで「ねぎ・長ねぎ」がランクインしてきますが、京阪神エリアでは「ねぎ・長ねぎ」を「えのき」がわずかに上回っている事が確認できます。更に京阪神エリアでは「えのき」以外にも、「しめじ」や「しいたけ」の使用率も京浜エリアより高くなっており、きのこ類が鍋に多く利用されている様子がうかがえます。
使われる肉にも東西では大きな差があるようです。京浜エリアは「豚バラ肉」、京阪神エリアは「豚ロース薄切り」となっており、野菜だけでなく好まれる肉の部位にも違いが見られます。野菜にしても肉にしてもエリアの鍋事情に寄り添った品揃えが、鍋シーズンにおける生鮮売り場の盛り上げに繋がりそうです。
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