こんにちは。インテージの濱です。
第3回の「健康と食」~機能性表示食品制度とヘスルケアフーズ市場に関して~に続き、インテージにて健康軸プロジェクトを推進する濱より、「生鮮食品のヘルスケアニーズ」に関して、お話ししたいと思います。
生活者は日々の喫食によって健康になりたい、美しくなりたいとのヘルスケアニーズを持っていると仮定し、健康や美容・ダイエットを目的(ヘルスケアニーズ)に購入した全ての食品(サプリメント等も含む)を「ヘルスケアフーズ」と定義し、その年間市場規模を推計しました。
2017年9月の調査(15歳~79歳1万人へのWebアンケート調査)の結果では、健康食品・サプリメント市場が約1.5兆円/年、食品・飲料市場が約1.1兆円/年、合計で約2.7兆円/年(前年比103.5%)となっています。
当該の調査結果から、生活者全体で64.3%、男性で60.9%、女性で67.6%が、健康目的で何らかのヘルスケアフーズを食べたり飲んだりしています。またヘルスケアフーズを“生鮮食品”に絞ると、上記の内45.2%が“生鮮食品”をヘルスケアニーズで喫食している事がわかりました。
更に品目別にブレイクダウンするとヘルスケアニーズの高い生鮮食品は以下の通りになります。
日頃から食卓に良く上がり、入手しやすい食品(トマト、キャベツ、青魚、たまねぎ・・・)が上位にあがって来ています。
トマトはヘルスケアフーズの万能選手(抗酸化、美肌)
次は、ヘルスケアニーズ別にどのような生鮮食品が喫食されているのか?具体的に見て行きたいと思います。
[注:グラフ内の割合は、健康目的で生鮮食品を利用している人(ヘルスケアフーズ利用者64.3%、かつ生鮮食品利用者45.2%)における、品目別の利用者割合]
【1】整腸・便秘の改善では、ごぼう、さつまいも、キャベツといった便通に効果があるとされる食物繊維の多い生鮮食品が上位に上がります。また、バナナ、りんごなどメディアで取り上げられ話題になった生鮮食品も上位にランキングされています。
【2】美肌・肌ケアでは、キウイ、グレープフルーツ、アボカド、トマト、オレンジなどのフルーツ系の生鮮食品が上位に上がります(各ニーズ全体との差が大きい順)。“ジュース”や“スムージー”などの加工品と共に、今後自宅でもフルーツ素材を喫食される方が増えて行くのではないでしょうか。
【3】骨・関節の健康では、小魚、青背魚に並んで、大豆、しいたけが上位にランキングされています。大豆は“大豆イソフラボン”による骨の健康、しいたけは“ビタミンD”がカルシウムの吸収を促すなど、エビデンスに基づいた喫食がなされている事が見えてきます。
【4】抗酸化・老化の予防では、トマト、青背魚、ブロッコリー、しょうがが上位にランクインします。
トマトは“リコピン”、ブロッコリーは“スルフォラファン”“”カロテン”、しょうがは“ショウガオール”などの抗酸化成分が含まれている事が知られています。
生活者 エビデンスから生鮮食品を選択する
【1】〜【4】の各ヘルスベネフィットで上位に選ばれた生鮮食品は、TV、新聞雑誌、インターネットなどのメディアから得られる健康情報を元に、消費者がヘルスケア意識を持ち、目的にあった“関与成分”や“科学的エビデンス”が含まれる“生鮮食品”を選び、予防及び、治癒を目的として、喫食している傾向が調査結果から見えてきます。
2015年春から開始された“機能性表示食品”の届出制度では、2018年3月末時点で生鮮食品の届出数は、1,332件中14件となっていますが、健康を意識して生鮮食品を購入する生活者の動向に応じて、制度の活用が望まれます。
出典:健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート2017年度版 [(株)インテージ]
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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