コラム・事例集

公開日時
2018/07/10 00:00:00

【農業イベント】Green Tech2018~オランダ農業最先端技術に触れて~

この記事の執筆者
Gebr.Van Duijin研修生 松本 啓

GreenTech2018とは?       

今回はアムステルダムで行われたGreenTech 2018 の紹介や、参加して感じたオランダと日本の農業の違いについてお伝えしていきます。

GreenTech2018は、6月12日から14日までの3日間、アムステルダムで行なわれた施設栽培の最新技術の展示会です。LED照明や、環境制御、ハウスや天敵昆虫、肥料や収穫用の車など、477の出展があり、3日間で112カ国から10,465人の来場者があり非常に大規模なものでした。来場者は、オランダ人を除くと、中国人やベルギー人、日本人が目立ちました。

オランダの農業を支える企業たち

GreenTech2018には、4つの領域のAwardがあります。
Innovation Award は、Metazet-FormFlex社のIRIS!Scoutrobot(http://www.metazet.com/)が選出されました。これは、AIを搭載した施設栽培用のロボットで、作物の状態、数、病気などの発達障害の検出や環境状態を検知することができます。
Sustainability AwardはVan der Ende Groep社のPoseido(https://www.vanderendegroep.nl/en/products/water-treatment/poseidon)というナトリウム抽出機です。塩害を招く様な土壌中に溜まったナトリウムを水の消費を抑えて、他の栄養素を損なうことなく、抽出することができる製品となっています。
Impact Award は、PRIVA Horticulture社のPRIVA Academyという世界中の施設栽培の農家を対象にした無料のオンライントレーニングサービスです。これにより、ユーザーは、園芸および屋内の環境で、灌漑、気候、エネルギー、労働および生産プロセスの詳細を学ぶことができます。

Concept Awardは、Visser Horti System社のAutoSTix(https://www.visser.eu/plug-transplanters/autostix/)が選ばれました。これは、高速で苗を植え替えするもので、均一で同じ深さに1時間に10,000回植え替えることが出来ます。

各賞を受賞した企業以外にも、天敵昆虫を扱っているKOPPERT(https://www.koppert.com/)社、オランダのグラスハウスの会社VAN DER HOEVEN(http://www.vanderhoeven.nl/en/)社など、世界最先端と言われているオランダの施設栽培にとって欠かせない企業があります。また、欧州の企業で最も研究開発する上位企業25社のうち、オランダの園芸企業であるRIJK ZWAAN社(https://www.rijkzwaan.com/)、Nuhems(http://www.nunhems.com/)、Enza Zaden(http://www.enzazaden.nl/)、KeyGene(http://www.keygene.com/)の4社が、入賞しています。このように優れた民間の企業が、オランダの農業の基盤となっています。

データをどう活かすか?

また、GreenTechでは、展示だけでなく、オランダで行われている農業の最新技術や考え方がわかる大学の教授や企業の社長や幹部等によるパネルディスカッションやプレゼンがありました。
ハウスの環境制御のソフトウェアのサービスを提供しているPRIVA社André de Raadt氏の「情報とは、データに意味付けしたもの」という言葉が大変印象深いものでした。当社の環境制御サービスは、オランダの施設栽培には非常に大切な役割を果たしており、ハウスの内の環境や野菜の生育や発病リスク、水分摂取、労働者の時間当たりの労働率など、農場内のあらゆる情報が可視化し、スマホ一つでどこにいても管理できるようにしています。さらに、得られたデータは利用者間で、シェアされます。大量のデータから、得られた数字により「強固な意味づけ」がもたらされていきます。

昨今はIoT(Internet of Things)やAIの技術の農業への利用は、日本でも盛り上がってきています。
東京大学大学院能楽生命科学研究科付属生態調和能楽機構副機構長の二宮正士教授は、著書『日本初「ロボットAIの凄い未来」 2020年激変する激変する国土・GDP・生活(窪田新之介著 講談社+α新書)』の中で、ビックデータを用いた農業では、環境情報と管理情報、生態情報の3つの情報を集めることの大切さを指摘しています。

PRIVA社のサービスは、これら3つの要件をデータとして「収集し」、「解析し」、「意味づけ」を行うことにより、オランダの農業の生産効率を向上させています。

注目されるSustainability (持続可能性)

展示物で印象的なものは、「ココピート」でした。
これは、ココナツの実の皮を加工し発酵したもので、ロックウールに代わるものとして注目されています。現時点では、オランダの施設栽培は、ロックウールを使用した養液栽培が主流です(研修先のGebr.Van Duijinもロックウールを使用)が、ロックウールは主原料が岩石なので、その処理が問題となってきており、より環境に配慮して、ロックウールからココピートに変更する農家が少しずつ増えてきています。
また、ココピートを使うことで有機栽培として扱えるのも大きな利点です。オランダを含めヨーロッパの農業では、「sustainability(持続可能性)」に注目が集まり、政府も多くの規制をかけています。今回のGreenTechでは、有機栽培の特設ブースもありました。ヨーロッパの農業では、日本の有機栽培の様に安心や美味しさではなく、環境への配慮ということで注目度が高まってきているます。
また、中国からの出展が多く、農業分野においても「中国の勢い」を感じずにはいられませんでした。


少ない面積で、最新技術を積極的に使い、世界で2番目の農作物輸出額であるオランダの農業。
高い技術で効率的に農作物を生産していますが、一人一人が総合的に高い技術を身につけて進めている訳ではなく、自分の専門性に特化し、協力し合うことで、得意分野を活かして行っています。
ヨーロッパと日本では、気候や地理的条件、政策など違いは多く、他の国の成功例が必ずしも自国で成功するとは限りませんが、できないところは他人に任せ、自分が得意なところを精一杯頑張り、全体で良くして行くというオランダの農業に対する姿勢は、参考にすべきところが大いにあるのではないでしょうか。


松本 啓(まつもと さとし)
JAECのプログラムにより、オランダのナスの施設栽培を行うGebrVan Duijnにて研修中。官民協同留学促進キャンペーンのトビタテ留学JAPAN!7期生。



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