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(栃木県 『ハーティッチファーム』賀川 元史 instagaram)
就農1年目、やっとの思いで栽培したナスを直売所で販売したい。ただ、その直売所では、どこかのおばちゃんが5本入りのナスを税込180円で売っていました。どうしても売上収入が欲しいあなたは、おばちゃんよりも安く5本入りを税込160円で販売したところ、1ヶ月で2000袋も売れ32万円の稼ぎ!よ〜し、これで農業を上手くやっていける!!
さて、上の状況はうまく販売できているといえるでしょうか?5本入り税込160円で売ることが妥当かどうか、どうやって判断しますか?これは、人によって違います。私は、5本入り税込160円では売りません。でも、それで売れる人もいるでしょう。
大切なのは、みなさんが自分で栽培した作物をいくら以上で売らなければならないのかを把握することです。今回はその方法を解説していきます。
栽培作物ごとの収支の記録
就農の1年目に必ず取っておかねばならない記録の3つ目は「栽培作物の収支」、つまり、お金の出入りの記録です。作物毎に、どれほどの収入と支出があるかを1年間通して把握してください。売上金額も支出も、作物毎に分けて記録するようにしてください。
支出には、その作物専用にかかった肥料や資材の他に、色々な作物で共通して使用する道具類などの費用も含まれるかもしれません。その作物専用の支出は単純に足し合わせれば良いですが、共通に使用する費用については一工夫が必要です。私の場合は、各作物の売上高の配分で共通費用を各作物に割り振る方法を採用しています。
作業時間も費用として計算
そして、もう一つ忘れてはならない費用の一つが、前回も話題にした作業にかかる時間の費用です。多くの農家は、自身の労働時間をタダだと勘違いしています。自分の働いた時間をお金に換算せず、その時間に価値を付けていません。しっかりと利益を上げるためには、この作業時間を費用として正しく計算して、販売価格を検討する必要があります。これらの全ての費用を計上し、それらによって生産された生産物の量で割ることで、初めて生産原価が算出できます。
