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(栃木県 『ハーティッチファーム』賀川 元史 instagaram)
一日一生懸命仕事をしたはずなのに、結局その一日での成果物が何だったのか分からない、、そんな経験は皆さんにもおありではないでしょうか?
それではここで、皆さんに問題です。「あなたは今日一日、何の仕事にどれくらいの時間を使いましたか?」この問題に、どれくらいの方がはっきりと答えられるでしょうか。農業を始めたばかりの皆さんには、この質問に答えられる癖をつけておいてほしいと思います。
なぜならば、この数字はあなたが将来農業で稼げるようになるための基礎データとなり、生産性を向上させるためのデータとなるからです。
今回は、就農1年目に必ず取っておかねばならない記録のうちの2つ目の「栽培に要する作業時間」について解説していきます。
栽培に要する作業時間の記録
前回お話したように、就農したら日々の作業記録を細かくつけて欲しいのですが、そこには作業内容だけでなく、その作業に要した時間も記録してください。また、記録方法は、1日全体の農作業時間ではなく、どのような作業に何時間かかったかをできるだけ細かく記載することをお勧めします。細かく分けすぎると管理が複雑になることもありますが、最初は細かく書き始め必要に応じてまとめていく方が良いでしょう。
私は前職で何千億円というプロジェクトを遂行していく職種でしたが、プロジェクトマネジメント手法の一つに、WBS(Work Breakdown Structure)という考え方があります。
WBSは、巨大なプロジェクトにおいて同時並行して行われるさまざまなカテゴリーの作業を整理するツールです。建設現場での作業カテゴリーは、例えばコンクリート作業や鉄骨作業などですが、このような考え方を基に私は作物別のWBSを作成し、各作業にかかる時間を把握するようにしています。
例えば、ナスの栽培で例に出せば、【圃場準備】という大きなカテゴリーの作業の中に「堆肥散布」、「耕うん」など、必要に応じて小さなカテゴリーの作業を割り振ります。その他にも、【定植】【収穫】【出荷】などの大きなカテゴリーも設けて、ナスを栽培して出荷するまでの全ての作業を網羅するような作業リストを作り、日々の作業がどの項目の作業なのかを割り当てていきます。
1シーズンを通して、これらの作業時間を積み上げれば、その作物を栽培するために必要だった全労働時間が分かるだけでなく、どの作業にどれほどの時間がかかったかも把握できるようになります。参考に、私が露地ナス栽培で記録した作業リストとその所要時間の一部を添付します。
これらの作業リストと必要時間数が分かることで、どの作業に時間を要しているかが明らかになり、生産性を向上させるためのアプローチが見えてきます。また、その作物の栽培面積を拡大するときや、従業員を雇うときの計画にも使えます。そして、この作業時間は、自分が栽培した野菜の価格を決定するためにも絶対に必要な数字になります。
このように、次の年の計画に最大限に活かせるように、1年目の作業も無駄にせずに各作業の内容とそれに要する時間を細分化して把握することに努めてみて下さい。
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