(YUIME株式会社 取締役 江城 嘉一)
第4回目の今回は、農家が人材支援サービスを受けることで、どのようなメリットがあるのか、産地間連携のしくみを踏まえながらお話しします。
各地の繁忙期に合わせて日本人・外国人が農業支援
農業の繁忙期と閑散期は、地域や作物によって異なります。たとえば、沖縄の主要作物であるサトウキビは、冬から春先にかけての12月〜3月が収穫期。一方、北海道では夏から秋口にかけての7月〜11月が多くの作物の収穫期にあたるため、積雪の多い冬から春先の農作業は少なくなります。
(福島県の圃場のようす)
当然ながら、繁忙期には多くの作業人員が必要となりますが、閑散期にはそれほどではないことから、繁忙期に合わせて労働力を通年で確保すると採算が取れません。
そのため、ほとんどの農家では、パートタイマーや人材派遣サービスなどを利用して、短期で人材を雇用します。いずれにせよその場合、地元から人材を募ることになります。
産地間連携がもたらすメリット
うまく確保できればよいのですが、パート従事者も高齢化しています。そのうえ、農業ほど重労働ではなくても、求人市場には、同じくらいの賃金が得られる仕事がほかにもあります。農業はそもそも短期雇用の働き手が集まりにくいため、欲しい人材が集まらない地域も少なくありません。
そこで、繁忙期に合わせて、全国各地を連携できるのがYUIMEの人材支援ネットワークです。
弊社のスタッフは、年間を通じて、北海道、関東、近畿、四国、九州、沖縄にいたるまで、全国各地の農場でさまざまな作物の生産から収穫、選果作業を経験しています。
日本人だけでなく、技能実習の経験を積んだのちに、特定技能1号の資格を取得した外国人スタッフ(参照:第2回、第3回)も多く擁しています。
各産地の繁忙期に合わせて、人材をやりくりすることができますから、農家にしてみれば、繁忙期だけ短期で作業人員を確保することができるので、求人募集をはじめ、コストを極限まで減らすことができます。これが産地間連携による人材支援サービスの最大の特徴です。
地域と農家の状況に合わせた連携で生産維持と拡大に貢献
YUIMEには、中途採用の日本人、外国人、そして農業高校や大学の新卒社員もいて、現場のリーダーからスタッフまで層の厚い継続的な支援が可能です。
そういった強固な人的資源を基盤に、地域と農家の状況に合わせた連携方法でクライアントの事業拡大に貢献しています。
個々の農家や農業法人だけが、私たちのクライアントではありません。地方によっては、地元の農協や自治体が小規模農家の窓口として、人材の受け皿になっている場合もあるので、そちらと連携することも珍しくありません。農協や自治体は、私たちYUIMEを通じて各農家に人材支援を行うことで、地域の農業生産の維持と拡大を図ります。
一方、大規模な農業生産法人に対しては、直接、安定した人材支援サービスを提供しています。YUIMEのスタッフに現場作業を任せることで、農業生産法人の経営者は、経営拡大のための事業計画づくりに専念できますし、それがひいては地元農業の維持や地域経済の活性化につながります。
また、繁忙期が異なる全国の産地で柔軟に働くことができるYUIMEのスタッフを通じて、ほかの地域での状況を把握したり、複数エリアに生産拠点を持つことだって可能なのです。
外部人材の活用による「小さなピラミッド」の増殖
YUIMEでは、3年以上の経験をもつリーダーのもと、1〜2年の経験の作業スタッフが現場の作業に従事します。
圃場では、リーダーが1日に必要な収穫量や天候などをもとに、その日の作業内容を決定します。収穫では、選果場の進捗状況を見ながら、臨機応変に作業を進めなければなりません。
(キャベツの収穫)
選果場の作業が中断しないように、処理がちょうど終わりそうなタイミングで収穫した作物を持ち込むのがベスト。流れを見極めて、作業の連携がスムーズに進むよう差配するのがリーダーの重要な任務です。そのため弊社が費用を負担して、リーダー役のスタッフに農機の大型特殊免許を取得させています。
(みかんの選別作業のようす)
選果場では、リーダーが1日の出荷量に対し、スタッフの人数、配置、時間管理、個々人の選別スキル、処理スピードなど、常に全体の状況を把握しながら運営します。
スタッフが選別方法を遵守し、作業スピードを上げていけるようにサポート。流れ作業ですから、周囲の状況を見ながら対応できるように指導するのも、リーダーの責任です。
労務管理と生産性向上を担えるリーダーが統率する機能的な作業集団。これをある大規模農家では「小さなピラミッド」と呼んでいます。農業生産法人の場合、自前でリーダーを育てて小さなピラミッドを形成するわけですが、YUIMEのサービスを活用すれば、外部人材を使って小さなピラミッドを増やし、農地拡大の経営戦略を立てることもできるのです。
互いに成長していける人材支援のあり方
「YUIMEには、派遣会社の枠に収まりきらない、特別なものを感じています」
……北海道のクライアントである大規模農家の経営者が、以前おっしゃってくれた言葉です。
私たちが農家に提供するのは、その場限りの派遣人員ではありません。長期にわたって続けることで、サービスを受ける農家も、作業スタッフの側も、お互いに成長していくのが人材支援サービスだと思っています。
(広大な北海道では、マルチ張り作業も人手が必要)
特定技能1号の外国人材による戦力増強を含め、全国各地に人材を供給できる圧倒的な労働力。さらに、さまざまな現場で実務を積み重ねたことで、チームを動かす経験を積んできたリーダーの存在によって、農家は経営基盤の安定のみならず、さらなる事業拡大へ向けてステップアップできるようになります。
YUIMEの使命は、リーダーの育成と外国人材の提供を、「車の両輪」として同時に進めることで、農業発展に寄与することをめざします。
次回は、私たちの人材支援サービスが、現場でどのように活用されているのか、具体的な事例をもとにお話ししたいと思います。(聞き書き:佐々木聖)
シリーズ『「人材支援」が結ぶ 経営と就農の新しい道』のコラムはこちら
YUIME(ゆいめ)は、農業の人材派遣・農作業受託を中心に第一次産業をサポートする企業で、産地間連携を基軸に作られた農業人材支援体制、サービスを提供しています。私たちは、全国の農家・事業者の必要な時に、必要なだけの労働力を支援します。また、登録支援機関として外国籍人材を受入れる企業が行うべき義務的支援を受入企業に代わり行うことも可能です。労働力不足でお困りの方は、コチラよりお気軽にお問い合わせください。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
公開日